お試し夫婦 Vol.11

あと1週間で夫婦生活が終わる。最後に、男が女に渡したモノとは…

結婚相手を見つけるのは、決して容易なことではないだろう。

仮に運良く生涯のパートナーに出会えても、結婚生活が常に平和とは限らない。他人同士が夫婦になるのだから。

だけどもしも、AIがあなたにぴったりの相手を選んでくれたなら…?

ここは、2030年の東京。深刻化する少子化の打開策として、なんと政府は「お試し結婚制度」の導入をした。

3ヶ月間という期間限定で、見ず知らずの男と「お試し夫婦」生活を送ることになった真帆の運命は…?

◆これまでのあらすじ

健吾に「元カノとヨリを戻していい」と心にもないことを言ってしまった真帆。お試し夫婦の期限が迫っている。果たして二人の結末は…

▶前回:「他の女と会って、妻を不安にさせる男なんて…」夜23時、女が耐えきれずに取った行動とは


健吾とお試し夫婦生活を始めて、来週でちょうど3ヶ月が経つ。

このまま仲良くなれると思った温泉デート。その直後に元カノが現れて、わかりやすく邪魔をされた。

あんなふうに同性に詰められたことがないから、ダメージが大きい。

もし、私たちの関係がこのまま平行線だったとしたら、結婚ではなく、お試し夫婦終了という結果が待っているだろう。

元カノの唯香とヨリを戻していいよ、と言ったのは私だ。

それなのに、健吾はこうやって仕事が何時に終わるかわからない私を駅で待っててくれた。

「やっぱり、もうこんな時間だし何か買って帰ろうか」

成城石井に入ったものの、お惣菜が目に入り健吾はそう言った。

「うん。私この、キャロットラペとチーズとワインがあれば満足」

「え!それ、僕も好物だ。野菜不足の時は『CRISP SALAD WORKS』のサラダか、ここのキャロットラペ頼り」

「私も好き。ヒップスターが」
「いつも、ヒップスターを」

ーあ、また。

お互いの目を見て驚いた後、同時に微笑む。

私は、この瞬間が大好きだ。同じ種類のサラダが好きだというだけで、バカみたいに運命を感じてしまう。

「もう〜、怖い怖い」

健吾は笑いながらカゴに総菜を入れていく。ただの買い物なのに、新鮮で特別で楽しい。

健吾は、わかっているのだろうか。来週には、このお試し夫婦期間が終了して、離れて暮らすか婚姻届を出すかのニ択になることを。

「真帆さん、今まで本当にありがとう」

会計を終え、帰路の途中にポツリと健吾が言う。

私は、その言葉の意味をこの時理解していなかった。

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