美活時代 Vol.1

「お金をかけるほど安心できる」美容代は月25万円。“美しさ”に執着する女の生態

美は、お金をかければかけるほど育つ。

美容皮膚科に、ネイルサロン。それからサプリメント…。いくらあったって足りないの。

誰もがうっとりするような、手入れの行き届いた美貌。

ーそれさえあれば、魔法みたいに全てが上手くいくんだから。

そう信じて美に人生を捧げてきた27歳OL・ユリカの物語。


―ああ、やっと17時を過ぎた。

色白で華奢な腕に巻かれたハリー・ウィンストンのアヴェニューが、定時20分前を示している。それをチラリと見て、ユリカはオフィスの席を立った。

そしてデスクの引き出しから、あるものを取り出す。…ユリカの顔と同じくらいのサイズの、ボックス型のメイクポーチだ。

「それ、デカすぎて何度見ても笑っちゃう」

隣の席の小西保奈美が、ユリカの抱えているポーチを見てケラケラと笑った。

山岸ユリカ、27歳。丸の内の大手IT企業の企画開発部に勤めて、4年目。

ユリカには、退勤前のルーティンがある。

毎日、17時10分に席を立ち化粧室へ。そして20分で化粧を直しデスクに戻る。すると、ちょうど定時の17時30分。フロアに流れるチャイムを聞きながら「お先に失礼します」とほほえむ。

「化粧直しは業務時間外にお願いしますね」と、新卒の頃はそんな風に咎める人がたくさんいた。でも、今となってはユリカの言動を注意する人はいない。何を言ってもムダだと誰もが思っている。

一方のユリカは、今でも自分に何の問題があるのか分かっていない。

ーだって、美しさはビジネスにおいても武器になるじゃない。

少しの失敗なら許されたり、大事な会食で得意先の機嫌をとれたり…。そんなオイシイ経験がユリカの中には蓄積されているのだ。

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