お試し夫婦 Vol.3

「男と同じ家で暮らすなら、覚悟しなくちゃ…」30歳の女が、男から提案されたこととは

結婚相手を見つけるのは、決して容易なことではないだろう。

仮に運良く生涯のパートナーに出会えても、結婚生活が常に平和とは限らない。他人同士が夫婦になるのだから。

だけどもしも、AIがあなたにぴったりの相手を選んでくれたなら…?

ここは、2030年の東京。深刻化する少子化の打開策として、なんと政府は「お試し結婚制度」の導入をした。

3ヶ月間という期間限定で、見ず知らずの男と「お試し夫婦」生活を送ることになった真帆の運命は…?

◆これまでのあらすじ

「お試し結婚」に申請し、1回目の顔合わせに挑んだ真帆だったが、偶然にも知り合いだったため、相手に断られてしまう。


「大学時代の憧れのイケメンと再会かぁ。なんかドラマだね〜!」

「はは。無事にお試し結婚できていたら、ドラマだったけどね...」

先日の顔合わせの報告がてら、なつめがいる美容院にヘアトリートメントしにきたのだが、私はまだ完全には立ち直っていない。

ただでさえ失恋したばかりだったのに、その直後の「お試し結婚」顔合わせNGは、女として自信を失うのに十分だ。髪に艶が戻ったところで解決にはならないけれど、何かしないと気が済まなかった。

「だから、次こそは失敗できないってわけか。たしかにちょっと毛先が傷んでるね。仕上がりは、しっとりよりサラサラがいい?」

「うん!あと、広がりやすいからボリュームを抑えてほしいかも」

「OK」

なつめがタッチパネル式の画面で、仕上がりの質感を調整していく。

すると、好きな香りや今の気分、髪の状態や好みの仕上がりで何万通りにもなる、オリジナルのトリートメントが一瞬で出来上がった。

「じゃあ、塗っていくね」

なつめの声と同時に目を閉じて、体の力を抜いた。バニラとハニーの甘い香りが髪から漂い、ストレスから一気に解放される。

きっと、小野君は本気で結婚相手を探していたわけじゃない。案内が届いたから興味本位で申請したのだろう。

だから誰であっても、断っていたはず。自分のメンタル回復のためにも、そう前向きに考えることにした。

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