2014.02.21
アンティカ・トラットリア シュリシュリ
ミネストラを通して
見えてくる真の贅沢
贅沢とはなんだろうか?『シュリシュリ』で「ミネストラ」を飲んだ時、そんな疑問が胸の内に浮かんだ。
一般的に贅沢な食事といえば、高価な食材を使った料理を指すことが多い。しかし高価=贅沢ばかりを追いかけていては、真実にはたどり着けない。逆に「コスパ」という言葉に振り回され、食品表示偽装にあたふたしてしまうのである。
『シュリシュリ』のランチには、パスタが何種類かラインアップされているが、嬉しいのは、そこに必ず野菜料理が一品入っていることである。ある日は、「ディータリ入りオルゾ大麦のミネストラ」(1300円)だった。野菜の出汁に、同寸に切られた、人参、ジャガイモ、セロリ、玉ねぎに、キャベツ、ヒヨコ豆、レンズ豆、大麦、小さいマカロニのディータリとパルミジャーノ。隠し味に生姜が入る。これに、黒キャベツだったり、スペルト小麦が入る日もある。
一匙すくえば、野菜類の甘みと香りが広がり、穏やかな気分を呼ぶ。豆は舌で甘くつぶれ、滋養を滲ませる。そこへ大麦とパスタの異なる食感が加わり、心を弾ませる。それぞれの味は突出せず、まろやかにまとまって、野菜や豆のありがたみを、深く心に感じさせる味わい。
僕は思う。これこそ贅沢なのではないかと。
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