週末バイブル Vol.2

突然訪れた、二人っきりの休日。すれ違っていた夫婦が、お家で愛を深めるために行ったコト

土曜14:00:それぞれ趣味の時間を。


ランチを終え、しばらくお互い好きなことをして過ごす。夫はゲーム、私はNetflixで『ペーパー・ハウス』や『セリング・サンセット』などお気に入りの番組鑑賞だ。

いつもだったら、ゲームばかりしてダラダラしている夫に対し、不満が募っていた。けれども、今日は自分の方にも時間があって心に余裕があるせいか、不思議とあまり気にならない。

同じ空間にいてもそれぞれ好きなことをして過ごせるのは、お互い安心しきっているからこそできることのような気がしてきた。

土曜17:30:『ア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴー』のテイクアウト弁当を


少し日が落ち始めたら、散歩を兼ねて、広尾にある『ア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴー』のお弁当をピックアップしに行く時間だ。

外に出ると、生ぬるい風が私たちを包み込む。いつの間にか、明治通りの桜並木の桜の花は全て落ち、すっかり新緑の葉に彩られていた。

「予約していたお弁当の、ピックアップに来ました」

店内で、期間限定の豪華なローストビーフ弁当を受け取る。 二人でお気に入りのワインを買って足早に家へ戻り、晩酌をしつつ、最高級のローストビーフ弁当をいただいてみた。

「うわぁ、美味しそう・・・」

二段になっている黄金色のボックスを開けると、白米を覆い尽くすほど贅沢に盛られているローストビーフと、色とりどりの美しいアミューズの数々。

一口食べるなり、あまりの美味しさに二人揃って唸ってしまった。

しっかり味の染み込んだリッチなローストビーフは驚くほどジューシーで、口の中でふわっと溶けていく。それと一緒にたっぷりと添えられている花山椒が華やかなアクセントとなって、鼻腔をくぐり抜け、体内全体に幸せを運んできてくれる。

「こんな贅沢なものがお家で食べられるなんて、幸せだね」

米粒一粒残らず食べ終わった私たちは、思わず顔を見合わせながら満面の笑みを浮かべていた。


「あぁ〜こんなゆっくり時間が流れるのって、いつぶりだろう。今週末は接待ゴルフもないし、飲み会もないし。こういう時間って、贅沢だな」

ワインを飲みながら、夫がポツリ、ポツリと話し始めた。

新しいプロジェクトリーダーになり、本当に忙しい毎日だったこと。そして疲れて帰ってくるため、私に家事をつい任せっきりにしていたことを。

「今日は久しぶりにゆっくりできたから、色々と考えられる時間があって。いつもありがとう」

突然の夫からのお礼の言葉に、不意に私は泣きそうになる。

いつも私ばかりが家事をしていると思って、不満が募っていた。いつしか会話も少なくなり、すれ違ってばかりいた。

でも不満を一人で抱え込むのではなく、こうしてちゃんと向き合って話せば、まだまだ私たち、いけるのかもしれない。

「俺、いつも葉子に任せっきりだったよな。これからは、家のこともやるよ」
「じゃあ、家事は分担制にしない?」
「そうだなぁ。二人とも働いてるんだし」

そして私たちは、料理はたまにデリバリーを活用したり、時には家事代行サービスも入れようとアイディアを出し合った。

もっと早くに、話し合えばよかった。どうして、こんな“当たり前”の時間を、私たちは設けていなかったのだろう。

掛け違えたボタンかもしれない。けれども一度全部外して、もう一度掛け直せばいいだけのこと。

「そうだね。ありがとう」

目の前に座る夫は、とても優しい眼差しをしていた。

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