妻のベール Vol.5

「結婚当初は、あんなに可愛げがあったのに」。夫がショックを受けた、豹変した妻の姿

結婚相手に経済的安定を求める女性は、多いと聞く。

結婚相手の職業人気ランキングを見ても、その通りと言えるだろう。

しかし中には、夢追う夫を信じ、支える“献身的な妻”というものもいる。

IT社長として成功した(やながわたかや)の妻・美香もそうだ。

一緒に貧しい時代を乗り越え、今でも夫の一番の理解者。彼女の支えがあったから成功出来たと言っても、過言ではない。

しかし、夫の思いとは裏腹に、財を手にした妻は豹変していく。欲望のままに。

◆これまでのあらすじ

妻・美香の実態を探偵から暴露された貴也。パーティーで派手に遊んでいるだけでなく、近々“男の育て方”などという本を出すという。

貴也は、妻を直接問いただすことにするが…?


探偵会社の報告を聞いた後、貴也はこっそりと家に帰った。

時刻は18時を回ったところだが、家に美香の姿はない。

−なんでこんな気分になるんだろう。

薄暗いリビングで、貴也は頭を抱えた。

白黒はっきりさせれば、自分の気持ちがスッキリすると思っていたのだが、そうではなかった。

探偵に依頼して、覗き見のような行為をしてしまったことで、ちょっとした罪悪感が芽生えていたのだ。

今となっては、「知らない方が良かった」と思う気持ちも強くなっている。

−とはいえ、遅かれ早かれ分かっていたことだ。早く気づけただけでもよしとしよう。

そう自分に言い聞かせる。

“地味で献身的だと思っていた妻”というのは、自分の幻想だったらしい。

現実は、夜な夜なパーティーに参加している派手な女。

しかし…。それは、あくまでも探偵が調べ上げた“事実”に過ぎない。どうしてそうなったのか、そんな派手なことを繰り返しているのか、理由は分からないのだ。

もしかしたら、騙されたり、誰かから良いように使われているだけかもしれない。

美香本人の口から聞かないことには、真実には近づけないだろう。

−よし、美香に聞いてみよう。

腹を決めたものの、美香になんと切り出すかが問題だ。悩んでいると、家のドアがガチャリと開く音が聞こえた。

貴也は、生唾を呑み込みながら自分の妻を迎えた。

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