「劣等感でつらい…」キラキラ女子が集まる、渋谷の企業に就職した女の本音

キラキラ系企業に就職したものの・・・


「“目黒に一人暮らしなんていいな~“とか、”あんな有名企業で働いているなんて凄すぎ!“など、そんな言葉を友人からかけられると、優越感に浸れて、疲れも吹っ飛びます(笑)」

そんなことを喜々として語る礼香であったが、ブルブルと震える社用スマホを見るや否や現実世界に引き戻されたのか、曇った表情を見せながら「ちょっとすみません」と言って席を外した。

暗い表情のまま戻ってきた礼香は、実は今までに感じたことのない劣等感に苛まれていると語り始めた。

憧れの集団に属せていることは誇らしいが、社員のほとんどが難関大出身の人間で占める中、背伸びして何とか一員になったというのが実情で、様々な場面でついて行くのに必死だと言う。

「この前、同期女子会なるものに参加したんです。そしたらそこで、早慶出身の華やかな女の子たちが“やっぱさ、国立大出身ってみんな地味だよね(笑)”とその場にいない人間のことを小バカにしてて…

しかもその翌日にね、その国立大出身の子たちに“え、あの女子会行ったの?あの子たちただ派手なだけで中身ないじゃん(笑)”て言われちゃって…。なんか学歴マウンティングに巻き込まれているけど、私は蚊帳の外だなって感じちゃったんです」

社員のほとんどが難関大卒という中、礼香と同じような女子大出身という学歴の人間がほとんどおらず、自分はそのマウンティングの土俵にすら上がれていないと感じてしまうようだ。

そして礼香の劣等感は仕事にも及ぶ。

「上半期のレビュー資料をつくる仕事を任されたことがあったんです。私、何から手を付けていいかさっぱりわからなくて…。それでも自分なりに一生懸命に考えて、時間をかけて資料を作ったら、同期の子に“え、あんなん1時間もかからなかったよ。先輩に過去資料もらって参考にしたら簡単にできたよ”って言われちゃって…」

礼香は浪人と留学を経ているため、同期のほとんどが2個下だ。そんな年下である同期たちが器用に仕事を捌いていくのと対照的に、礼香はいつも膨大な仕事量に愕然としてしまうというのだ。

仕事をするにあたって、大学受験で得た知識が役立つことはほとんどないだろうし、礼香の会社は学歴不問採用を標榜しており、それは偏差値だけでは測り切れない経験値や能力を求めてのことだろう。

とは言っても、難関大出身の同期たちは、大学受験を通じ目標地点と自分の現在地を客観的に把握する力、その差を埋めるための計画や努力をより効率よく形にするための戦略を身に着けており、それは確実に仕事にも生かされているように礼香には、感じられるという。

「内定をもらったときに人事から言われた“人一倍頑張るように”という言葉が、今になって身にしみています」

礼香はそう呟くと、まだやり残した仕事があると言って、身支度を始めた。

確かに大学受験で得たノウハウはその後の実社会で生きる場面は多いだろう。しかし、礼香は就活で挽回できたように、今、仕事において不器用ながらも必死にもがいていることは、確実に礼香の力となっているのではないかと問いかけると、「そうかもしれないですね」と、少し元気な笑顔を見せてくれた。

礼香が周囲に引け目を感じずに、本当の意味で“仕事のできる綺麗なお姉さん”となる日が一日も早く来てほしいと思った。


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