2019.12.24
恋のアプリ Vol.2食事会より効率的で、紹介よりも気軽な出会いの手段。それは、「マッチングアプリ」だ。
インスタントな出会いと割り切るか、運命の人に出会える可能性を信じるか。全ては、使う人次第。
今日もこの東京のどこかで、出会いと別れが繰り返されているのだ。
お送りするのは、『東カレデート』を通じて知り合った男女のラブストーリー。
登場するのは、4人の男女たちだ。交錯していくそれぞれの想い。一体どんな結末が待っているのか…?
◆これまでのあらすじ
モデルの美女たちに疲れた翔吾は、マッチングアプリを始め、沙也香と初デートをする。アプリ初心者の翔吾だが、沙也香に対して特別な感情を抱くことはなく、二人はその後の約束をすることなく別れた。
一方の沙也香の胸の内は…?
六本木のけやき坂。この時期は、ここを独りぼっちで歩いていると、寒さが増す気がしてしまう。
高級ブティックが立ち並び、白と青のイルミネーションがきらきらと輝いている。その様子はとても綺麗だけれど、彼氏がいる時とそうじゃない時に見るのとでは全く違うものに見えてしまうのだ。
すれ違う幸せそうなカップルをつい睨んでしまいたくなったが、私はハッと気がついた。
「あ。17時過ぎてる。急がないと」
イルミネーションが点灯しているということは、時刻が17時を過ぎているということだ。
美容皮膚科を17時ちょうどに予約しているのだ。頬の高い位置にあるシミが気になって以来、私は昨年から月一のペースで通っている。
早足でクリニックに向かい、ビルのエレベーターに乗り込む。そのとき、降りてきた男の人とぶつかりそうになった。
「あ。すみません」
驚いたような顔をしている男性に、慌てて私も「すみません」と頭をさげると、急いでエレベーターの「閉」ボタンを連打した。
クリニックに駆け込むと、待合室で出迎えてくれたのは、担当の夏織さんだ。
女も見とれるほどの美人。今日も完璧な彼女を前に、私は汗で張り付いた前髪と適当に選んだ服が急に恥ずかしくなって、挨拶もそこそこに目線を下に向けてしまった。
「じゃあ、今日はQスイッチレーザーですね。ピンポイントでシミに照射していきましょう」
カルテに施術内容を書き込むとき、彼女からふわりといい匂いがした。それは香水とはまた違う、まるで彼女自身の匂いのような、さりげなくて自然な香りだ。
きっといい女っていうのは、こういう人のことをいうんだろう。確か最初に聞いたときの記憶が正しければ、私の3歳年上。彼氏がいるようなことも言っていた。
私が30歳になったとして、こんな女性になれる気がしない。
先日の翔吾とのデートで早々に解散となってしまったことや、そのあと一切連絡がないことも、女としても自信をなくすには十分で、急に虚しさがこみ上げてきた。
こうやって美容皮膚科にも定期的に通い、食生活にも気を配って、毎晩毎朝のケアも頑張っているのに、一向に肌は綺麗になってくれない。結局は美人には勝てないのだ。
夏織さんのような自然な美しさに憧れる一方で、結局私は、カラコンもまつエクも未だにやめられないし、ネイルも長いほうが落ち着く。
世の中のナチュラル志向に従うべきなのか、このままギャルっぽい感じを貫いていいのか、それすらも今はわからなくなってきていた。
「どうかしましたか?気分悪いですか?」
顔が暗くなったのを察したのか、夏織さんが心配そうに聞いてきた。
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