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  • ツイてる男 Vol.1

    ツイてる男:どうしていつも“セカンド”扱い?悩む美女の前に現れた、新たな男の正体

    「ヤバい。今日は絶対いい日になる気がする。俺が保証する!」

    目を輝かせながら言う浩輝に、美優は今日も若干引きながら、笑顔を返す。

    飲み会の後、美優は浩輝と連絡先の交換をした。その帰り道から途切れることなくメッセージを送ってきた浩輝。彼の熱意に押され、今日は二人で銀座へ出かけることになったのだ。

    「え!美優ちゃんもパスタ好きなの?俺もなんだよ!一緒なんて、なんかラッキーだな。」

    突然好きな食べ物を聞かれ、とっさに答えただけなのに、浩輝はまたもや目を輝かせた。

    「あ、うん。…でもさ、パスタなんて別にみんな好きだと思うけど…」

    「でもさ、蕎麦派やラーメン派の人もいるワケじゃん。なのに一致してるなんてさー、スゴイよ!」

    やっぱ俺ツイてるな、と浩輝は笑う。

    ―やっぱ、なんか変な人。でも…嫌じゃないかも。

    浩輝の謎のポジティブ思考がどこから来るのかは不思議だったが、何故か彼と話していると、美優までツイているような気分になれる。

    今までの彼氏は、自立した大人の男ばかりで、デートの時は美優も精一杯背伸びして、彼に見合ったオトナの女性を演じていた。その時はそれが当たり前だったが、今考えれば実はすごく無理をしていたのかもしれない。

    パスタの話だけでこんなに楽しそうに、屈託なく笑う浩輝の隣にいるのは、意外なほど心地良かった。

    「あ!今年も買わないと!」

    突然、浩輝が道の向こう側を指さす。美優は驚きながら、浩輝の指さす先を見ると、そこには宝くじ売り場があった。

    「なんか、今日はツイてるし、イイ予感がする!…美優ちゃん、行こう!」

    そう言うと浩輝は、美優の手を握り、宝くじ売り場へと引っ張って行った。

    「美優ちゃんは?当たったら何する?」

    宝くじ売り場には、何人かの人が並んでいる。浩輝はその後ろに並ぶと、すでに高額当せんしたかのような笑顔で、当たったら何をするかを嬉しそうに話し始めた。

    「俺はね、まず親に1億あげて、世界一周旅行して、…ヤバい、それでもまだ全然あるよ!美優ちゃんは?当たったら何する?」

    ―当たったらって…そんなの当たるわけないじゃん。

    「…んー考えたことないかも。」

    そう言った後、一瞬浩輝が黙ったので、美優は場を白けさせたかと焦った。しかし次の瞬間、浩輝は嬉しそうに言ったのだ。

    「まじか!じゃあ今から想像し放題ってことじゃん。俺も一緒に考えたい!いい?」

    宝くじ売り場に並びながら、美優は、浩輝と当せんしたら何をするかについて盛り上がる。投資や貯蓄など、普通のアイデアしか浮かばなかったが、浩輝はさも嬉しそうに、大きく頷いてくれる。


    そうして年末ジャンボ宝くじと、年末ジャンボミニを買った浩輝が満足そうな笑顔を見せていた時だった。

    美優は、自分が浩輝にぐんぐん魅かれていることに驚きつつも、素直にその時を楽しんでいた。だがその時、ふいに後ろから甲高い声が響いた。

    「あー!浩輝だ!」

    振り向いたその先には、浩輝に向かって手を振る美しい女性がいた。

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