「女は、美容とオシャレに投資すべき」と胸張る“散財女”が、イケメン外銀男に玉砕した夜
—老後や貯金の心配なんて、将来の旦那様の役目でしょ?—
総合商社の一般職に努める彩香(27歳)は、いわゆる“ゆるふわ”可愛い系のモテ女。
仕事は要領よくソツなくこなすが、オフィスは必ず定時で去り、夜な夜なお食事会に繰り出すのが日課。
女の投資は流行りの美容とモテファッションに身を包み、自慢の美貌を保つことだと浪費を続ける彩香だが、“運命の出会い”が彼女に制裁を下す...!
彩香はオフィスの化粧室の鏡に、うっとりと向かい合った。
—このリップもチークも、私に似合いすぎ...。
先日ボーナス払いで新調したワンピースにレッド ヴァレンティノのミュールを合わせ、これまたデパートで購入したばかりの夏のコスメで念入りにメイクを直している。
「うわ...すごい数の化粧品。そこまでメイクしなくても、十分可愛いのに。そんなに沢山必要なの?」
彩香の膨れ上がった化粧品ポーチを驚いたように眺め、隣でそう呟いたのは真弓だ。
美人でサッパリした性格の彼女とは同期で一番の仲良しだが、なぜかオシャレには無頓着。いつ見ても同じ真っ黒なストレートヘアに、おそらく眉毛とリップのみの超薄化粧をしている。
「あのね。女子たるもの、美容とオシャレにはお金は惜しまないの!ねぇ、真弓にも美容院紹介してあげる。トリートメントで髪質変えて、カラーして巻いたらすっごく可愛く...」
興奮気味に語る彩香を、真弓は呆れ顔で遮った。
「私は大丈夫だから。それより、こんな同じような色の化粧品ばっかり集めて...。あのさ、彩香って貯金とかしてるの?」
「だから、コレは“投資”なの。女は可愛くなるために洋服、コスメ、エステに“投資”するのがイチバン効率が良いの!」
真弓の問いに、彩香は強気で答える。
—そう。“リターン”はちゃんと回収できるわ...。
そうして彩香は颯爽とその場を後にし、今宵もハイスペ男の集まる食事会に完全武装で出陣した。