年収120万アップが最低ライン。未経験の業界でも、強気で転職交渉するための秘策とは

​丸山　面接官は、 他の人と比べてこの人は何が飛び抜けているのか、何が売りなのかを知りたいんです。履歴書が通って面接に進んだということは「仕事はできるよね」と判断されたということ。

だから、僕がもったいないなと思うことは、一番重要な第一面接への対策をきちんとしないこと。面接でどういう回答をすれば面接官に喜ばれるかをよく知っているので、僕はそれを徹底的に教えていました。そこはエージェントの知識と実力ですね。

面接で質問される内容って大体10項目くらいなんですよ。それを、僕は候補者さんに事前にメールで送って答えてもらってます。その回答で、その人が面接にパスするかしないかが大体わかります。

「これ言ったらすぐ落ちる」ということを普通に言っちゃう人って、結構いるんです。その「落ちる回答」が続いて、結果的に落とされちゃうんですよ。だからそれを最初にスクリーニングして「この答えだと落ちるから、こう言ってください」と指導していけば、大体の方は受かります。

そこまでして受からなかったら、最終的に性格が合わないか、よっぽど緊張しちゃってちゃんと答えられなかったか、ということになるので。

そこまで徹底して面接に臨むようにしないと、お互いの時間の無駄になります。でもそこまでやる人ってほとんどいない。 9割の人はやらないです。面接が決まったからとりあえず行ってみるという人がほとんど。でも僕は自分が担当した人には10項目を全部書き出してメールで送ってました。それを期日までに返してこない人は面接にも行かせない、というくらい徹底してました。

時間がないと言う人は電話でそれをするんですよね。でも、電話でやってると同じ質問でも毎回答えが変わるんです。「もう一回リピートしてください」と言うと、前とは違う答えが返ってくる。そうすると面接に行った時も緊張しているので、用意していたものとは違うことを答えてしまう。だから、記憶するという意味でも一度文章にすることはとても重要だと思ってます。

そこまでしないと面接は大体通らない。そうして第一面接に通ったらあとはもうその人の実力です。こちらとしてはあまりすることがない。 第一面接が一番難しいものなので。

業務のことで質問されるのは本当にごくわずかなんですよね、実は。

​阿部　すごい、すごく納得感あります！ちなみに、私が今後面接を重ねていく中で、年収の交渉も出てくると思うのですが、そういった時にどんな風に交渉を進めればいいのか、アドバイスいただけませんか？

​丸山　そうですね、今の状況では、阿部さんは転職することで家賃手当がなくなることが一番のネゴのポイントですね。

なので、転職する会社の近くに住むってなったらその辺の家賃相場を調べて、だいたいその分はアップしてくれないと困る、考慮してほしい、ということはきちんと伝えた方がいいですね。今の生活水準を保つために、今の年収で考えてもらっては困る。それを犠牲にしてまで転職はできない、と伝える。

​阿部　それってどこまで強気で言っていいんですか？

​丸山　 エージェントにはガンガン強気で言ってください（笑）。 あとはエージェントが頑張るだけなので。

​阿部　わかりました、強気でいきます（笑）。今日は、とても参考になるお話、ありがとうございました。一旦セールスで入って社内異動を狙うという発想はなかったので、目から鱗でした。

履歴書の書き方や面接での対応など、教えていただいたことをきちんと実行して、良い転職ができるように頑張りたいと思います！


———転職相談を終えて。

“女性の働きやすさ”を求めての転職。阿部さんが現在勤務しているような、手当や待遇の良い大企業でも、男性が多い部署の場合は、女性が長く働き続けることの難しさがある。

本来であれば転職せずに働き続けられれば、それが一番良いのかもしれない。

だが、そんなことで悩まずに未来を見て転職活動に励む阿部さんの姿には、女性ならではのしなやかで凛とした強さが宿っていた。

▶Next：6月13日 木曜更新予定
育休明けでの転職を希望する女性が登場。

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