
「1つだけ」じゃ満足できない。強欲な女が辿り着いた、自分らしい生き方とは
誇りにしていたキャリアを捨てた理由
結婚も仕事も順調。幸せの絶頂だった矢先、30歳を目前に過労のため体調を崩し入院した。
「その時、ふと思ったんです。あれ、何のために仕事してきたんだっけ?って。こんなに体を酷使してまで、大切にしたいものって何なんだろうと。
私、決断したら早いので、体調を崩したのをきっかけに仕事を一旦辞めたんです」
自分が築き上げたキャリアを一旦降りて見えた景色は、“自分が築き上げた、自分の虚像”だった。
「自己主張をして海外に来たつもりでしたが、人からどう見られるかばかり気にして人生を選択してきたことに気付いたんです。“やっと勝った”と思っていたけれども、何に勝ちたかったのかも分からなくなっちゃいました」
そして、会社を一旦辞めてのんびり暮らしていた時に、健康のためにヨガを始めた。
「ヨガを始めてから体はもちろん精神的にも健康になったんです。物事をニュートラルに考えられるようになって、少しずつ日本人女性へのコンプレックスも解消できましたね」
それ以降、ヨガは直美のライフワークの一つになった。なんでも極めたくなる性格もあり、LAでヨガの指導者コースを修了した。そして、ヨガをきっかけに、食事やコスメなどもこだわるようになった。
ヨガをしている時こそ“自分らしく自由でいられる”との思いと、自身のキャリアも活かしヨガスタジオを東京で経営することにした。
「アメリカの最新ヨガメソッドやオーガニック食材、コスメ情報も日本に発信したいと思ったので、東京でヨガスタジを経営しながら情報の発信もしています。“好き”を仕事にしちゃいました。
でも、何だか満足できなかったんです。物足りなかったというか…」
一つでは満足できない欲張りな女
もともとバリキャリで仕事をしていた彼女は、ファイナンスの世界の刺激が恋しくなっていた。あの頃のスリルのようなものを再び味わいたい、そんな気持ちを抱えるようになっていた。
昔の同僚にその話をしていたところ、米国に本社があり海外展開をしているスタートアップ企業を紹介された。そして、その企業の日本オフィスにおけるファイナンス部門のマネージャーを担うことになった。
「今は東京とLAのオフィスを行き来しています。自由な働き方を推奨している会社なので、みんなパソコン一つで世界各地で仕事をしています。
私も、時々東京のオフィスに顔を出しますが、業務の大半は、オンラインでの仕事がメインです」
好きな時間に、好きな場所でやりがいのある仕事をする。こんなに自由な働き方はないと彼女は言う。
「アメリカ育ちの日本人というどっちつかずの私だからこそ、“デュアルライフ”というどっちつかずの2拠点生活を送り、2つの仕事を持つことが自分らしくいられるポイントなのかもしれません。ただ欲張りなだけなのかもしれませんが、どちらか一つ選べないですね」
そう語る彼女の顔は、自信に満ち溢れていた。誰にだって、きっと自分らしくいられる場所や仕事がある。それは幼い頃から海外を転々としてきた彼女だからこそ、よりはっきり感じることができるのかもしれない。
まさに、人生100年時代の新しいライフスタイルなのではないだろうか。
仕事も住む場所も自由に選ぶことができるこの時代、自分らしくいられる場所も仕事も、一つに限らなくても良いのかもしれない。
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