田中 圭に2018年を振り返ってもらったら、思わぬ話の連続で、つい聞き耳を立てた。

■プライベートのこと
“守るべきものがあるから、人は頑張れる”


悲しみと喜びを代わる代わる味わう。人生とはそういうものだが、田中 圭にとって2018年はそれを象徴する1年でもあった。役者としてブレイクする一方、プライベートでは最愛の母を失った。

「今年のはじめに母は他界したので、残念ながら母に『おっさんずラブ』を見てはもらえませんでした。

うちは母子家庭だったこともあって、母には溺愛されて育ったんです。僕がこの世界に入るきっかけを作り、今年の僕の状態を誰よりも願ってくれていたのが母ちゃんだったから、母ちゃんのためにも後悔しない人生を送らないと」

そう話す田中さんの顔つきは、終始穏やかだ。悲しみを抱えているに違いないが、表情からはその本心を読み取らせない。


そこで、もう少し素顔に迫ろうと、今度は27歳で築き始めた家庭について訊ねることにした。妻と2人の娘(2歳と6歳)の前で、彼はどんな夫であり、どんな父なのだろうか。

「嫁は僕にとって一番の親友。僕が仕事に邁進できるのは彼女のおかげ。頭が上がりません(笑)。父親としては、決して子煩悩タイプじゃないですね。

僕がたまに家にいると、チビたちはテンションを上げて飛び掛かってくるけど、『遊ぼう』と言われても、疲れていたら『嫌だ』って平気で返しちゃう。

まあ、それで簡単に引き下がるようなやつらじゃないんですが。最近は一緒にお出かけできてないから、そろそろ連れていってやらないと」


そこまで話して、田中さんは初めて目を細めた。それは、慈愛に満ちた父親の顔に見えた。

「守るべきものがあるから、人は頑張れるんだと思います。それと、最近しみじみ実感しているのは、やはり人生において出会いは大事ってこと。だから、家族はもちろん仲間ともひとつのテーブルを囲んで旨いメシを食う時間を持ちたいと思っています。

グルメな友達が増えてきたので、予約が取れない話題店にも足を運びます。意外に思われますが。誘いには基本的に乗るようにしています。すべての出会いが次に繋がっていきますから」

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