森脇慶子の「旬カレンダー」 Vol.8

手を掛けてさらに味わい増す 上海蟹の奥深さを識る

※この店舗は移転、店名変更しております。詳しくは下記店舗情報よりご確認ください。
 この記事は移転前の情報です。

左.蟹味噌入り(¥8,000)

右.スープのみ(¥4,800)

両方ともフカヒレと松茸がたっぷり入るリッチな味。蟹味噌入りは、味噌のまったり感が広がる魅惑の美味しさだが、シンプルなコンソメのみのタイプは食材の持ち味が生きている

今を遡ること約4000年前。夏王朝の始祖といわれる帝王・大禹の時代から食されてきたと伝えられる上海蟹。中国では一般的に「太閤蟹」の名で呼ばれているこの蟹は、いわば上海の秋の風物詩。江蘇省は蘇州にある陽澄湖で捕れるそれが、最も上質であるといわれている。

日本でも、松茸や秋鯖などと並ぶ秋の味覚として親しまれるようになって久しいが、ただ蒸すだけでなく、ビスクや茶碗蒸し、蟹味噌の黄金炒飯などなど、変幻自在な味の広がりを楽しませてくれるのが、ここ『チャイニーズタパスレンゲ』の西岡英俊シェフだ。

上海蟹の魅力は、やはり味噌と11月の白子。でも、蒸したての身のホックリとした栗のような風味も捨てがたい」との思いから閃いたのが、上海蟹のコンソメ。味噌を外した後の身と殻50杯分を、長ねぎ、しょうが少々、昆布、塩と共に5リットルの水で仕上げた淡麗なスープは、上海蟹特有の優しくコクのある甘みと旨みを仄かに湛えつつ、味わいの余韻が深い。ご覧のあんかけ御飯2種。双方とも、主役はこの“上海蟹のコンソメ”と知ろう。

●もりわきけいこ
美味の食べ歩きに日々邁進し、綿密な取材と豊富な経験に基づく記事で定評のあるフードライター。真の旬を伝えるべく、その時期とっておきの美味にありつける名店を紹介

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