美しいひと Vol.2

「すれ違う男という男が、私を振り返る」“美しさ”を金で買った女が実感した、外見至上主義の現実

美しさを手に入れたことで、変わったのは外見だけではない。

何よりも驚いたのは、姿形が美しいというだけで、周囲の人たちの対応がこれほどまでに違うのか、ということだった。

例えばハイブランドのショップに入っても、以前は通り一遍の対応しかされなかったのに、「お客様だったら、これも似合いそう!」と奥から新作を出してきてくれたり、「素敵な方に持っていただけて光栄」などと感謝すらされる。

異性に関してはもっとあからさまで、街を歩いているだけですれ違う男という男が私を見ているのがわかる。

夏に帰省した際の新幹線では、重たいスーツケース持っている私を見つけた男性がどこからともなく現れ、颯爽と上の棚に持ち上げてくれたりもした。…そんなこと、23年間生きてきて初めてのことだ。

そしてさらには、思いがけぬ驚きのオファーまで飛び込んできたのだ。


ハイスペ男からの誘い


「ねね、麗華。今度この人と会ってみない?」

バックルームで休憩をしていると、後から入ってきた花音が、含んだ目つきで私にスマホ画面を見せてきた。

「え…?」

そこには見ず知らずの男性が写っていたが、何の理由があって私がこの人に会うというのだろうか。

「この人ね、私が今ちょっといいなって思ってる人の同僚なんだけど。何気なく麗華の写真見せたら、彼、麗華のことすごいタイプだって。会ってみたいって。

今度さ、皆で気軽に食事でもどう?外銀でかなり稼いでるし、顔だってほら、悪くないでしょ?」

花音に促され、私はもう一度、その男の顔をまじまじと見た。

端正な顔立ちに、意志の強そうな瞳。慣れた様子でカメラに収まるその表情には、難なく人生を送ってきた者特有の余裕がにじみ出ていた。

自分への自信に満ち溢れていそうなこの男が、私に会いたいと言っている…?

たくさんの“?”が頭に浮かんだが、しかしいわゆるハイスペ男から「タイプだ」などと言われて、もちろん悪い気はしない。

「でも…私なんかと会って、がっかりしないかな」

「何言ってるの。麗華はめちゃくちゃ美人なんだから、もっと自信持たなきゃ」

遠慮がちに呟いた私の言葉を遮るように、花音は大げさに頭をふる。

そしてふと、何かを思いついたように悪戯な目で私を覗き込むと、こんなアドバイスをくれたのだった。

「そうだ、麗華にいいこと教えてあげる。こういうモテるタイプの男はね、媚びてくる女なら周りに掃いて捨てるほどいるから、むしろ高飛車な女が好きなのよ。

だから、そんなに言うなら会ってあげてもいいわよって、ツンとすましておけばいい。そうすれば彼、必ず麗華に夢中になるわ」


▶NEXT:9月27日 木曜更新予定
新たなハイスペ男との出会い。その時、麗華の心に湧いた“ある感情”とは。

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

この記事へのコメント

Pencilコメントする
No Name
芯のある女性と高飛車な女は違います。
2018/09/20 05:4699+返信1件
No Name
知り合いの娘さんで、ドンドン整形してきれいになった子がいるんだけど、既に少しずつ崩れてきたよ。
整形依存って怖いよね。
2018/09/20 05:2399+返信30件
No Name
美容皮膚科医の友人が、整形について「やっても幸せになれないよ」と言っていたことを思い出すなぁ。
2018/09/20 05:3799+返信3件
No Name
荷物を上げてくれる方、日本でも増えてきましたね。見た目は関係ないかと思いますが。。
2018/09/20 05:3559返信20件
No Name
再会して、あまりにも顔が違うと「いじったな」と気付かれてしまう。
両親も幼なじみにも、気まずくないのかな?ましてや、憧れの平塚くんにも
2018/09/20 06:1852返信5件
もっと見る ( 210 件 )

【美しいひと】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo