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  • Age32 岐路に立つ女 Vol.3

    若い男との恋は美の特効薬。人生の岐路に立つ32歳女が年下男に言われた、胸キュンな言葉

    若い男との恋は…


    そうして迎えた、サービス説明会の日。

    発案者である花純には、会の冒頭に、開発意図や狙いなどについてスピーチする役割がある。

    会場となる大会議室のステージ横。花純は先ほどからずっと、緊張を誤魔化すようにひたすら原稿を眺め、セリフを繰り返していた。

    「花純」

    ふいに、聞き覚えのある声がして、振り返る。するとそこには、ベージュのパンツスーツを着こなした美女が立っていた。

    「美玲!」

    広報部の彼女が説明会に参加することは知っていたが、親しい顔の登場に一瞬、緊張がほぐれる。

    美玲は花純を励ますように肩を優しく叩くと、どこか悪戯っぽい表情を浮かべた。

    「花純、なんか変わったんじゃない?すごく輝いてる」

    さらには「そうかな。美玲に教えてもらった美容液のおかげかな」などと照れつつ饒舌に語る花純に対し、静かに、意味深な一言を放つのだった。

    「…若い男との恋は、美の特効薬だから。じゃ、頑張ってね」


    「お疲れさま」

    説明会を終えてオフィスを出ると、入り口に康介が立っていた。

    今夜、20時に彼が指定した店で落ち合う約束をしていたのだが、どうやら花純の仕事が終わるのをここで待っていてくれたらしい。

    どちらからともなく人の少ない裏道を選んで、駅に向かって歩く。この数ヶ月で康介との距離はぐっと近づいており、肩を並べる二人の間に漂う空気も自然で、穏やか。大役を終えた花純にとって心がホッとするものだった。

    「大反響だったらしいじゃん。さすが」

    まるで自分のことのように嬉しそうな顔をする康介に、花純も自然と笑みが溢れる。

    「そうなの…!ずっと頑張ってきたことだから本当に嬉しい。なんていうか…今ようやく、自分に胸を張れる気がしてる」

    並んで歩く康介に、花純がそう言って笑顔を向けたとき、だった。

    急に視界が塞がれたと思ったら、康介に唇を奪われていたのだ。

    「え…!?」

    驚き立ち止まる花純は、それ以上の言葉を発することができない。そっと、口元を抑えて康介を見つめていると、彼は「ごめん、なんか高まった」と照れたように呟いた。

    そして改まったように花純を向き直り、こんな言葉をくれたのだった。

    「花純さんは十分素敵だから、自信持って。だって…僕がこんなに好きになるくらいなんだよ?」

    Fin.

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