鉄板接待なら ラグジュアリーフレンチはハズせない Vol.1

カンテサンス

Quintessence

新天地で紡ぐ、第二章

メインフロアは木と石のイメージで構成。シンプルな壁面に唯一と言っていい装飾は鏡。テーブルを映すアングルに設置されており、岸田シェフが作るその時々の料理がインテリアの華にもなる。また「ゲストをお待たせすることがないように」とチェックステーションは2ヵ所用意。各テーブルの背後にワインクーラーを置くゆとりのスペースも生まれ、「サービスも以前より格段にスムーズになった」とソムリエ達も口を揃える。

磨きのかかったその実力を遺憾なく発揮する

あの“予約の取れない店”として名高い三ツ星フレンチ『カンテサンス』が、2013年8月末に、御殿山に移転オープンした。「実は以前から店内で気になる部分がたくさんあったんです。もっと厨房やフロアの動線を良くしたい。個室やパウダールームも狭い。自分の理想を追求すればするほど、もっとお客様に快適な空間を提供したいという想いが募って、ハード面の改善は急務だと感じていたのです」と岸田周三シェフ。数々の物件を見て、様々なデザイナーと会い、現状の問題点をスタッフとも徹底して話し合った。膨大なプロセスを経て誕生した理想の店は、岸田氏のこだわりが、ここそこに凝縮された極上の空間だ。

まず、店内は極めてシンプル。木と石など天然の素材を主役に、電気のスイッチやコンセントに至るまで不自然な装飾は一切排除されている。以前の店舗より1.5倍にもなった空間に、席数は変わらずの34席。その分、テーブル間隔に余裕を持たせ、サービスマンのスムーズな動線を確保した。次に配慮したのが個室の位置。ふたつの個室は大フロアを通過しなくても入室できる場所に存在する。これで客同士が偶然、顔を合わせるといった心配もなくなった。

そんな中で楽しめる料理は、空間同様に本質を極めた味。決して華美ではないが、主役となる素材の長所をギリギリまで高めた絶妙な匙加減と斬新な組み合わせに、誰もがうっとりと溜息を漏らす。「多くのレストランの中から、大切な方のおもてなしの場にうちを選んでいただけるのは本当に光栄なこと。そのために当店が一番重視しているのが事前の打ち合わせです。料理やワインのお好みはもちろん、目的やご予算まで入念な打ち合わせで、来店いただいた方全員が、満足以上の気持ちを持っていただけるよう心掛けています」と岸田シェフ。彼が考える接待とは、決して享楽的な宴の席ではなく、料理や素材、空間に至るまで本物だけが持つエネルギーの素晴らしさを皆が共有する貴重な時間なのだと言う。

そんな彼が新天地に選んだ場所は品川の御殿山。周辺は「花房山」「池田山」「島津山」「八ツ山」と共に「城南五山」と称される、歴史とゆとりを感じる閑静な住宅街だ。「僕は賑やかな場所が苦手なので、落ち着いたこの街の雰囲気は気に入っています」。新生カンテサンスが紡ぎだす接待の時間は、あくまでも本質的。それでいて、刺激的だ。

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