2018.07.12
遊び慣れた人が本当に求める食と場所『吉柳』
恵比寿で深く遊んでいる人ならば、必ず行き着く憩いの酒場がある。『吉柳』ときいて、「ああ、あそこね」と返ってくれば本物の遊び人だというほど、深夜族のなじみの店だ。
この店を営むのは吉柳利哉さんだ。恵比寿を30年以上、料理というフィルターを通して見続けた彼は、この街を訪れる人の胃が“本当は何を求めているか”を知っている。
気合いを入れて訪れる店の多い恵比寿は、普段使いできる店が意外と少ない。そんな時に必要とされるのが、毎日通っても飽きずに、ほっと落ち着ける空間である『吉柳』のような酒場なのだ。
明治通り沿いで『屋台 吉柳』として1989年に開業。80年代バブル期の港区を遊び尽くした大人たちの胃袋を満たしていた。 その後、店舗を構えてからも、時代が求めているものを見極め、人々に愛され続けているのである。
またお客のオーダーを見ながら、味の被る料理があれば機転を利かせて、サッとどちらかの味付けを変更するという配慮も。それが、酒飲み心をガッチリ掴んで離さない品書きとアレンジだ。30年近く遊び人たちとともに恵比寿の夜を過ごしてきた目利きだからこそ成せる技なのだ。
開店当時から提供を続けるカレーは『吉柳』の名物である。元はアルバイトのネパール人スタッフが、夜な夜な振る舞っていたカレーから始まったそう。それが好評になり、定番化したものだという。
現在はスパイスカレーとスープカレーの2種を提供。今回は「スープカレー チキンとあさり」をセレクト。塩、胡椒、カレーパウダー、バルサミコで作られるサラッと胃に流れ落ちていくあさり出汁の効いたスパイシーなスープがたまらない!
まずはそのまま、その後、具の上にのる青のりを溶かして磯の香りをプラスしたり、添えられたバターをスープに溶かしてコクをプラスしたりと味変も楽しめるのも嬉しい。
気取らず、シンプルに美味しいものを提供し、常に進化し続ける『吉柳』。 カレーや定番料理であっても、常にさらに美味しくできるよう日々研究を欠かさない。
だからこそ常に時代の流れを意識している遊び慣れた大人に受け入れられ、そんな人たちがちょっとひと息つきたい夜に訪れたくなるのだろう。
恵比寿という場所で遊ぶなら、必ずおさえておくべき酒場であることは間違いない。
『初代』の白いカレーうどん
変化球のこちら!恵比寿から徒歩3分程度の白い壁のスタイリッシュな店内で頂けるのがこの白いカレーうどん。
「え、これカレーですか?!」と、『初代』の白いカレーうどんのように、真俯瞰からみるとスタバのフラペチーノかと見間違うような、食べると元気になってしまう個性的なカレーがある。
「カレーの具として定番のじゃがいもを、うどんにマッチする新しい形で盛り込みたい」という思いが結実した一品。
店側の想像を超えて目下ブレイク中だそう。全面、白い泡に覆われた丼の下には濃厚なカレーとコシのある手打ち麺。このインパクトが話題を呼んでいる。
白いフワフワの正体は、蒸してつぶしたじゃがいもとかつお出汁と生クリームを合わせてエスプーママシンにかけたもの。これだけすくってもよし、下のカレーと徐々に溶かしてもよし。食べ進むにつれマイルドになっていく。
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