2018.07.04
恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.2その夜、『ラビスボッチャ』に集まった3人の女のうち、僕は1番好みだった(つまり、小柄で童顔で胸が大きい)マリエを口説き落とすことに成功した。
“有名私立大学出身”の“商社マン”という肩書きは、思っていた以上に武器となるらしい。
…というのは冗談で、実際のところ、タフで繊細な交渉を要する商談や四方八方に気を遣って臨む接待を通じて身につけた立ち居振る舞い、そして自信が、女性関係にも大いに役立ったのだ。
難なく自由が丘の家に連れ帰ると、マリエはこちらが拍子抜けするほど簡単に僕を受け入れた。…ついさっきまで、付き合っている彼氏について話していたはずだが。
「好きだよ。マリエ、すごい可愛い」
ベッドの上で囁く言葉は、嘘ではない。言ったそばから、感情が変化していくだけで。
こんな風にすぐ思い通りになる女が大好きな癖に、いざコトが済むとその軽薄さに呆れる。自分だって、同類の癖に。
−何やってんだ、俺は…。
しかしこの頃の僕といえば、毎度こうして後悔することをわかっていながら、同じことを延々と繰り返しては日々を過ごしていた。
たとえ深夜であろうと、呼べば誰かしらが来てくれる。予定の空いた週末、デートする相手にだって困らない。
女なら、欲しさえすれば手に入る。それで十分に満たされている…はずだった。
手に入らない女
「ねぇ、そういえば聞いた?相沢さんが結婚間近って話」
ある夜、同期会でゴシップ好きの女が言った言葉に僕は耳を疑った。
結婚するのか?里奈があの、二階堂と?
数ヶ月前、会社の前まで里奈を迎えに来ていた派手な車と、二階堂のスカした横顔を思い出す。
付き合っていることは承知していたが、まさか里奈が結婚を考えるほどの相手だとは思いもしなかった。
僕がモテ期を存分に満喫しているのと同じで、てっきり若さと美貌を持て余した里奈の、数いる遊び相手のうちの一人だとタカをくくっていた。
「…もっとちゃんと恋愛しろよ、あのバカ」
気づけば誰にも聞こえない声で、僕はそう独りごちていた。
その言葉は里奈に向けたものだったが、僕自身の心にもグサリと刺さった。
▶NEXT:7月10日 火曜更新予定
里奈は本当に、二階堂直哉と結婚してしまうのか?
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
この記事で紹介したお店
ラ・ビスボッチャ
「丸ぽちゃ君」(そのまま)
「乳首ヤロウ」(白シャツに乳首が透けてた)「何の変哲も無い人」(disりすらない、記憶に残らない人)
と呼ばれてた。女子はあっさり一次会で退散。商社と合コンしたのはこれが最初で最期。
この小説のようなフェロモンあふれる商社マンと会ってみたかったです。
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