雲丹なら雲丹の味を完全に引き出す!素材命のイタリアンはシンプルだけど最強に美味い!

まるでアートピースのようなフォトジェニックな料理がもてはやされている昨今。

記念日のデートや美食家たちだけの集まりならそれも正義だと思えるが、日常でちょっと美味しいものが食べたいときは、シンプルで美味しい方がいい。

今回人知れずひっそりとオープンしたイタリアンは、そんな願望を叶えてくれるという。


素材を重んじたコースで魅せる、密やかなイタリアン
『チョコ』

かつて、交通の便の良いことがレストランの好条件のひとつだった。それが今はどうだろう。

三つ星フレンチの御殿山『カンテサンス』をはじめ、中華の新鋭・南麻布『茶禅華』、熟成鮨の名店・二子玉川『㐂邑』etc.。

いずれも最寄りの駅から歩いて10分以上はかかる不便な立地でありながら、数ヵ月先まで予約で満席の人気ぶりだ。わざわざ足を運ぶに足るレストラン――これが今、話題に上る人気店の傾向かもしれない。

名店ほど交通の便が悪い場所にあると言ってもいいだろう。この5月6日、江戸川橋駅から10分程の場所に現れた『TXOKO』もそんなハイエンドなレストランだ。

「トロフィエのジェノベーゼソース」は、ねぎや木の芽を入れたちょっぴり和テイストのソースがユニーク。コースは¥12,000


オーナーシェフの関口晴朗氏は、あのイタリアンのカリスマ山田宏巳シェフの元で修業。

山田シェフが退いたあとの『リストランテヒロ』で11年間、料理長を務めた大べテラン。途中、25歳から4年間渡欧し2年をサンセバスチャンの名店『ムガリッツ』で研鑽を積んだ実力派だ。

「初めて『ムガリッツ』の料理を食べた時の感動は、今も忘れられません。シンプルに見えて緻密な構成に震えましたね」とは関口シェフ。

それゆえ、ここでも素材の味を第一に考えて料理を組み立てるようにしているとか。

曰く「素材をこねくりまわさず、目をつぶって食べても、何を食べているのかわかるようなひと皿が目標です」

「ウニのブルスケッタ」。ウニは北海道の塩水ウニ。パンにはにんにくに加えてトマトも軽く擦りこむなど、丁寧な一品


その言葉通り、アミューズの「ウニのブルスケッタ」に始まるコースの一品一品は、いずれも単純明快だ。

たとえば、とり貝とトマトを盛り合わせた一品。皿の上には、文字通りこの2つの食材のみ。だが、とり貝は軽く炙ることで貝本来の自然な甘みが増し、熱したオリーブオイルで瞬間的に温めたフルーツトマトは、酸味のカドがとれてジューシーさが倍増。

互いの旨味を程よくつなぐ生温かな温度感も絶妙だ。冷たいままではただの添え物に過ぎないトマトも、火が入ることで付け合わせ兼ソースの二役を見事に演じ、オリーブオイルの香りが料理に立体感を与えている。

「あいなめのポシェ サフランソースにんにくのピュレ添え」はバスクらしさを感じさせる逸品。穏やかな旨味が広がる


また、クリアな魚のスープがベースのサフランソースで頂くあいなめのひと皿は、この上なく上品な味わい。

丁寧に仕込まれたにんにくのピュレひとつとっても、シンプルな中に潜むガストロノミー的な繊細さが感じられる。

とはいえ、こぢんまりとした空間に、尖った雰囲気は皆無。夫婦2人のおもてなしの心とテーブルマット代わりに置かれた笠間焼のプレートのナチュラルな風合いが、店全体に穏やかな趣を与えている。

「とり貝とフルーツトマト」は、石川・七尾のとり貝と高知・堀田のトマトを採用。たったふたつの食材の組み合わせなので厳選に厳選を重ねている。

「熊本阿蘇のあか牛の炭火焼」。取材時は、イチボを使用。しっかり食べてもらいたいからと1人前100gのボリューム。それゆえ、あえてサシのあまり入らないあか牛をチョイス。ガシッとした適度な歯ごたえと柔らかさに頬が緩む。

表面に黒く焦げ目がつくほどしっかりと焼き込むチーズケーキは、バスク特有。その旨さで評判のサンセバスチャンのバル『ラヴィーニャ』のケーキをイメージして作ったという秀作だ。

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