2018.06.23
35歳のヤバい女 Vol.1女の真の“モテ”は30代から
27歳が女の市場価値のピークという一般論は、とことん馬鹿げていると理恵子は思う。
さらには女の年齢はクリスマスケーキと一緒で、25歳以上から徐々に需要がなくなり、31歳を過ぎればゲームオーバーなんて、もはや昭和時代の話だろう。
たしかに理恵子にも、30代を目前にして「そろそろ結婚すべきなのかな」なんて焦りを感じる時期もあった。
だが今となっては、浅はかな世間の風潮に惑わされ、適当な男と結婚などしなくて良かったと心底思う。
そもそも、「市場価値が下がる」なんて年齢的な焦りから適当に結婚を決める女たちは、“若さ”しか武器がないと公言しているに等しい。
女として限界を感じ、逃げるように無難な男と結婚したり、子どもを産んで辛うじて自分の価値を保つなんて、なんと情けない話だろう。
実際に理恵子は、某女性ファッション誌の敏腕編集者としてかなりの評価を得ていたし、年齢による外見の衰えもこれっぽっちも感じていなかった。
それに30代に突入すると、理恵子は自分でも驚くほどよく“モテ”た。
もちろん、20代も男に困ったことはないが、“若くて可愛い女の子”という消費財のように見られることも多く、明らかに下心を漂わせて寄ってくる男も後を絶たなかった。
だが、大手出版社の副編集長というキャリアを築き、30歳を越えても20代半ばの女と変わらない外見を保つ理恵子に対して、男たちは女としての興味だけでなく、尊敬の念もきちんと抱くようになったのだ。
そうして理恵子の周りに集まるのは、若い頃よりもずっと質が高く堅実で、オマケに結婚願望もきちんと持ち合わせた男ばかりだった。
そんな彼らは皆、「不安定な若い女より、経済的にも精神的にも自立した女が魅力的」と口を揃えて理恵子を讃えたし、理恵子も「その通りだ」と大いに納得していた。
―理恵子ってマジで最高だよ。外では仕事もデキて隙がなさそうな美女なのにさ、こうやって二人きりになったときの豹変ぶりったらさ...。
理恵子は、ちょっと人には言えない昨晩のベッドの中での敦史の賞賛の嵐を思い出し、撮影に向かうタクシーの中、つい口元が緩む。
身長は165センチ、体重は48キロと10代から変わらないスリムな体型を保っているうえ、バストはGカップと豊満なため、大概の男は理恵子の身体にメロメロになるのだ。
そして、変にカマトトぶらず、こうした少々卑猥な褒め言葉を積極的に楽しめるようになったのも、30代の醍醐味である。
すると、バッグの中のスマホが振動した。
―今夜は赤坂見附の割烹『もりかわ』を予約してます。19時半で大丈夫?
電話番号も住所も非公開、紹介制の知る人ぞ知る店を指定され、理恵子の心は弾む。
今宵のデート相手の桜田は、ずんぐりした外見は残念なものの、某ベンチャー企業のCFOで、最近会社を上場させたばかりの上玉だ。
昨晩の敦史はお気に入りではあるが、会うのは多くて月に2度程度。
理恵子には他にもデート相手は幾らでもいるし、頻繁にそれぞれの相手をしていたら、週に10日あっても時間は足りないのだ。
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もりかわ
デキさせたこと全然反省してないじゃん。
相手からしたら都合のいい女ですよね!
そりゃいい言葉もかけますよ。
身体の関係まで持って自分はモテるって勘違いしてる女の人いますよね
綺麗なのに勿体ない
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