東京就活事情 Vol.9

「僕と結婚したら外交官夫人になれるよ」のキラーフレーズが効かない…彼女いない歴27年、男の焦り

最強のマザコン男


まず、佑樹が外交官を目指したきっかけは何だったのだろうか。

「とにかくエリートになることだけを目標にしろと、母から言われ続けて育ったんです…」

目黒区で生まれ育った佑樹。父は内閣府に勤務する官僚で、母は専業主婦。

母は、超教育熱心なスパルタママで、佑樹は小さい頃から塾に通い、勉強ばかりの日々を過ごしていた。

スポーツは苦手だし、容姿も恵まれているとは言い難い。女性とは無縁な学生時代だった。

高校時代に一度だけ、同じ塾の女の子と仲良くなったことがある。彼女とこっそりデートに出かけようとしたが、母には全てを見抜かれていた。

「今、恋愛に現を抜かしたら勉強が疎かになるわ。エリートになれば、女なんて腐るほど寄ってくるんだから、今は我慢のときよ」

そう言って母は、佑樹に恋愛禁止令を下した。佑樹自身も、デートに行けないのは残念だったが、母の言う通りだと思った。

エリートになれば人生が変わる。それまでの辛抱だ。

そう信じて、勉強にだけは一生懸命取り組んだのだ。


その結果、余裕で東大に合格した佑樹。

大学時代から、官僚である父親の影響もあって、早々と官僚になる道は決めていた。

総合商社や外資コンサル、金融が人気の今でも、官僚は別格。その中でも外務省を選んだのは、ネームバリューに他ならない。

「公務員という安定性、外交官というネームバリュー。これぞエリートに他ならないと確信していました」

大学2年の頃から、公務員受験の予備校に通い詰めて勉強漬けの毎日を送った佑樹。その甲斐あって、彼は外務省から内定をもらった。

内定が決まったとき、佑樹はこれまでの自分の道のりを振り返って、母の言う通りにして本当に良かったと強く感じた。

高校時代からちゃらちゃらと女に現を抜かしていた同級生は、冴えない会社に就職している。一方、自分は外務省だ。

母の教えを信じ、全ての欲望を封印して勉強に明け暮れたからこそ、手に掴んだ内定である。

そして同時に、佑樹は確信した。

「エリートへの道が開けた今、これからは、モテる時代到来だって思いましたよ」

そう、母も言っていたはずだ。

“エリートになれば、女なんて腐るほど寄ってくる”と。

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