金より愛子 Vol.2

「金より愛」なんて、負け犬の遠吠えでしょう?開業医と婚約して人生逆転した、女のもくろみ

明日香は、自分の運命に諦めすら感じていた。

稼ぐ能力があるわけでもなく、裕福な実家という後ろ盾がない女は所詮、平凡な人生を送るしかない。

そんなとき、現在の婚約者・公平と知り合った。

彼への第一印象は、“真面目そうな人”。外見も特に好みではないし、話が面白いわけでもないが、とにかく明日香に一生懸命話しかけてくる。

公平は、順天堂の大学病院に勤務しており、実家は和歌山で病院を経営している。そんな話をぼんやり聞いていたとき、公平の口から出た「開業医」という言葉が、耳元に心地よく響いた。

その時、明日香は気がついてしまったのだ。公平と結婚すれば、愛子とも、大学時代の友人とも一瞬にして立場が逆転するということに。

そして明日香は、公平を受け入れた。

時々街中で、肩を寄せ合い幸せそうに歩くカップルを見かけると、胸がちくりと痛む。確かに自分にも、あんな風に心から好きな人と過ごした時間があった。でも、明日香は立ち止まらない。

全ては、お金のある暮らしを手に入れるためー。

夢にまで見た高級マンションでの暮らし


明日香の婚約者・公平は、渋谷にあるタワーマンションに住んでいた。公平の父親名義で新築当時に購入したものだ。渋谷から表参道に向かう途中いつも目に飛び込んでくるそのマンションの存在には、明日香もずっと前から気がついていた。

“高級タワーマンションの先駆け的存在で、最上階には著名人も住んでいる”

そんな噂を耳にしたこともある。まさか、そこに自分が住める日が来るなんて夢にも思わなかった。

婚約してすぐに明日香は、憧れのマンションでの新生活をスタートさせた。

スマホで何枚もリビングの写真を撮り、厳選した数枚をInstagramに載せただけでは飽き足らず、ふと思いついた。

—インスタもいいけど、実際に見せたいなあ。そうだ。週末、愛子を呼んでみようかしら。

明日香は、その暮らしを他の誰でもない愛子に一番に見せたかった。

ハリーウィンストンの婚約指輪を見ても顔色ひとつ変えなかった愛子だって、さすがにこの部屋を見れば、「羨ましい」と言ってくれるかもしれない。

そんなことを考えて、イタリア製の高級ソファをうっとり見つめながら撫で続けていた。



週末は計画通り、愛子と数名の友人を家に招いた。

手土産の『ユーゴ・アンド・ヴィクトール』の焼き菓子を大理石のリビングテーブルに広げながら、明日香は女たちの歓声に酔いしれる。

「さっきエレベーターで見た男性、テレビに出てる人じゃない?」

「1階のエントランス、本当に豪華ねえ。やっぱりお医者様は違うね」

騒いでいるのは、大学時代、ゴルフサークルが一緒だった女たちだ。新品のクラブやゴルフバッグが買えなくて、先輩からのお下がりを使っていた明日香を見たときの憐れみの視線を思い出すと今でも苦しくなる。

この記事へのコメント

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No Name
明日香の性悪さがベタすぎて笑えるwww
2017/11/20 05:2299+
No Name
数年後は和歌山w
2017/11/20 06:5599+返信1件
No Name
なにこの明日香って女。考えが浅はかすぎて気持ち悪い
2017/11/20 05:2189
No Name
寂しくて残念な女ですね。友達に羨ましがられたいだけで結婚相手見つけるなんて悲しいことしなくても...結局、自分の周りの勝てる相手の中で何でも1番じゃないと嫌なんでしょうね。お金で何でも買えちゃうと勘違いしてそう。愛よりお金も否定はしないけど全てにおいてそうだとお金はあっても孤独との戦いしかないと思うから早く目を覚まして欲しい。お金より愛派だけど、似合わないけどハリーの指輪はやっぱり羨ましい(笑)
2017/11/20 05:4467返信1件
No Name
夫でのマウンティング。愚かだわ。
2017/11/20 07:3964返信9件
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