カマトト狂騒曲 Vol.2

男に「大好き♡」と平気で言える女には、永遠に敵わない。地味な女子アナが感じた嫉妬

大好き♡と平気で言える女たち


「途中で事故にでも遭ったのかなって、心配してたよぉ?」

少し遅刻してしまった私たちに、花凛が笑顔で心配してくれている。

事故に遭う心配をしているのか、遅刻したことに対しての嫌味なのか分からぬまま、私たちは『東京 芝 とうふ 屋うかい』の、日本庭園と東京タワーが綺麗に見える部屋に入った。

何度来ても、東京の中心にあるのに静寂さが漂うこの店が、私は好きだった。

「ここ、来たことあった?」

声の主を、私はまっすぐ見つめる。爽やかで仕立ての良いスーツがよく似合っている、航平だ。

「初めて来ました♡来てみたかったから、嬉しい~〜!!」

私の代わりに、翔子が可愛らしく答える。(先月も、翔子はここで食事会をしたと言っていたけれど...)。

「レミちゃん久しぶりだね。翔子ちゃんは初めまして、かな?」

航平の笑顔に、私の胸はキュッと締め付けられる。

しかし翔子の方をふと見ると、翔子も航平に見とれていた。

大手広告代理店・電堂新社に勤める、花凛の友人の航平。育ちの良さがにじみでていて、代理店勤めで日々忙しいはずなのに、彼の周りだけゆったりとした時間が流れている。

そして慶應幼稚舎出身の航平は、顔が広い。

航平が連れてきたのは、人気絶頂で、且つ事務所が売り出し中の若手俳優・ユウジと、大物政治家の息子・幸一郎だった。


「航平ちゃん、さすが~~っ!素敵な男性の周りには、やっぱり素敵な人しかいないのねぇ♪」

花凛が両手を合わせながら、大きく瞳を見開いてとびきりの笑顔を男性陣に向ける。

「花凛様からのお願いだからね。良いメンツ揃えました。」


「ありがとう♡だから航平ちゃん、大好きっ♡」


大好き、という言葉を平然と異性に使える花凛がたまに羨ましくなる。

それだけで、男性陣は嬉しそうに鼻の下を伸ばすからだ。

何度か花凛を通じて会ったことがあるが、航平は花凛に“ゾッコン”だった。

目の前に私がいるのに、私のことなんて目もくれず、航平はいつも花凛を見つめている。その熱い視線が羨ましくて、どうしたらこちらにも向いてくれるのだろうかと、彼に会うたびに胸が苦しくなる。

しかし航平が見つめる花凛の視線の先には、大物政治家の息子・幸一郎がいた。

「へぇ〜じゃあ幸一郎さんも、航平ちゃんと小学校から一緒なんですかぁ?私、幼稚舎って、ずっと幼稚園のことだと思っていたんです…。無知でお恥ずかしい♡」

―いやいや、それはないでしょう。

心の中でそう突っ込んでいると、意外なところから横槍が入った。

「うっそ〜!!花凛先輩もですかぁ?実は私もそう思っていたんです~!!でも、私は兄が幼稚舎なので、小さい頃の話なんですけどねぇ~。」

翔子、花凛への宣戦布告か!?

私は心の中で一人実況中継をしながら、花凛と翔子の会話をしばらく黙って聞くことにした。

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