2011.10.21
厳選!心を打つ究極のひと皿 Vol.2“感嘆の味わいに、奮発してしまう。
冬が来るたび足を運ぶ、極みの美味”
美食家・林真理子さんが感じる、冬の風物詩
2011.10.21
厳選!心を打つ究極のひと皿 Vol.2美食家・林真理子さんが感じる、冬の風物詩
その店は、六本木の繁華街から路地を入った一画にある。創業30余年になるふぐ店だ。ぱりっとした暖簾、白木のカウンター。小体な店のしつらえは玄人好み。シーズンのピークを迎えるこれからの時期、ふぐ好きがこぞって集うのだろう。林真理子さんも、毎冬必ず訪れるという熱狂的なファンのひとりだ。
今回“究極のひと皿”に推し、「芸術的」と評するのが、白い大輪を咲かせる「ふぐ刺し」。形が良く、身が締まった身欠きのふぐは2日間ほど寝かし、刺身は厚めに切られる。ほのかに飴色を帯び、実に艶やか。身には弾力があり、淡泊だが深い味を醸し、甘みを含む。皿の中央に高く盛られた皮刺し「みかわ」や湯引きは、また違った味の楽しみをもたらす。
通常は自家製のポン酢で味わうのだが、林さんの推奨は「あん肝だれ」。詳細は差し控えるが、“キモ”となる肝は選りすぐりも選りすぐり。裏ごしした後、当たり鉢であてつつポン酢で割り、口当たりはふんわりと、しかしパンチのあるたれにする。丁寧に切り揃えられたあさつきともみじおろしを加え、刺身にまとわせて味わえば、これまさに恍惚の境地。
ふぐの時期は「彼岸から彼岸まで」と言われるが、本来の旨み甘みを身に宿す11月から2月に、いよいよ最旬を迎える。「あん肝だれの濃厚さは驚きのひと言。刺しが厚いのでよく合います。高くても毎冬必ず来店するほど好き。思い切って人にも奢ってしまう」と、推薦者。
美食家、林真理子が焦がれる。ここは『味満ん』という。
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