恋愛中毒 番外編:「私を、馬鹿にしてるの?」人妻に嫉妬した独身女の、知られざる胸の内

人妻が恋するのは、罪なのか。

裕福で安定した生活を手に入れ、良き夫に恵まれ、幸せな妻であるはずだった菜月。

結婚後に出会った彼は、運命の男か、それとも...?

恋に溺れた人妻・菜月のこれまでの一部始終を傍観してきた友人の美加が、知られざる胸の内を語る。


「ミカ。リップがとれてる。すぐに直して来なさい」

会議室に、イタリア人上司の冷たい声が響く。

これまで数々のラグジュアリーブランドを転々としながら昇進し続けている彼女は、40歳で二人の子持ちであるにも関わらず、1ミリの隙もなく仕事をこなす。

「すみません、すぐに戻ります」

―この忙しい中、しかもインターナルの会議で、口紅くらいいいじゃない...!

美加は本音をぐっと堪え、急いで会議室を出る。

フランス本社から社長一行が来日しているため、美加のオフィスは嵐のように荒れていた。

すでに飽和状態の仕事量は日に日に増え続け、体力と神経が絶え間なく削られていく。

外資系企業はどこも同じだろうが、ミスを犯したり、“使えない”と判断されれば簡単にクビになる。特に年末が近づくこの時期は、どの社員もピリピリした空気を発していた。

美加は睡眠不足で荒れてしまった唇に、真っ赤なマットの口紅を無理矢理に塗り直す。目の下には濃いクマが浮かんでいるが、しばらくは手の施しようがないだろう。

つい小さく溜息をついてしまうと、頭に自分とはまるで対照的な女の顔が浮かんだ。

疲れ一つ見えない、透き通るような真っ白な肌。口紅などなくとも薄ピンクに潤った唇。そして、異性同性問わず、見る者を妖しく惑わせるような黒目がちの瞳...。

仕事で荒れた独身女の心に、親友の菜月の存在は、もはや毒でしかなかった。

この記事へのコメント

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まさかのバリキャリ親友の裏切り!
配信21時にして番外編挟んでくるなんて、最終回の終わらせかたも工夫してきましたね、東カレさん(笑)
2017/11/04 06:4095
No Name
私も独身だけど、僻む前に自分の欲求の為に無理やりふわふわした主婦を合コンに誘った事を反省しましょうよ、と思いました。
2017/11/04 08:0694返信1件
No Name
菜月と達也の行動の是非はともかく、
最近の世間の不倫騒動、目の敵のように攻撃する人達は、まさにミカと同じような心境なんだろうなとふと思いました。
2017/11/04 05:5078
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