2017.10.31
渋谷にも、大人が人生で一度は食べておきたい美味がある。それも東京を代表するレベルのお店だ。忘れがたき味、上質な空間、温かいおもてなし。
『ラチュレ』こそ、大人が渋谷に再訪する理由となる一軒だ。
ジビエに魅せられたシェフの全力の料理を
『LATURE』
19世紀のフランスを代表する美食家、かのブリア・サヴァランをして〝我々の食卓の花形である〞とまで言わしめたジビエ(野禽料理)。それに魅せられたのが室田拓人氏。青山学院近くのフランス料理店『ラチュレ』のオーナーシェフだ。
「ジビエはクラシックなフレンチのスター的存在。飼育された肉と違い、自然の厳しい環境の中で育った肉は余分な脂がなく、旨みが凝縮されています」
熱意を込めてその魅力を語る室田シェフ。そんな彼とジビエとの出会いは20歳の時。修業先のビストロ、神谷町『レゼールヴェルト』だった。初めて口にした山鳩の野生的な旨味は、たちまち室田シェフをジビエの虜に。
そこで、次の修業先に選んだのが銀座『タテル・ヨシノ』。ジビエの達人・吉野建シェフの門戸を叩いたのだ。
ここでさまざまな野禽類を扱ううち、ひとつひとつに個体差があることに、室田シェフは気づく。
「なぜこれ程までに違いが生まれるのだろうと考えた時、獲れた場所、仕留め方、処理の仕方で大きく味が変わるものなのだ、と。そして、ジビエの面白さはまさにそこにあると思ったんです」
ならば、自分で納得のいくように仕留め、処理すればいい。そう思いたった室田シェフ、2009年には狩猟免許を取り、料理人兼ハンターに。
今、店で出すジビエのうち、青首鴨など鳥類の多くは自ら仕留めたものだ。また、熊や猪などの鳥類以外の肉は、信頼する猟師から仕入れている。
青首鴨は収穫後の米を食べた田んぼの近くで獲れたもの、熊なら、山の木の実をたっぷり食べる時期と場所を選ぶなど、生育環境も鑑み下処理も丁寧に施した『ラチュレ』のそれは、過度な熟成香もなく、自然の恵みを存分に受けて育った生き物ならではの、清廉でいて精気漲る旨さが身上だ。
また、手法はクラシックでもプレゼンテーションはモダンに、が室田流。鹿のブーダンをマカロン仕立てにしたり、落ち葉をあしらったガラスの器に熊のコンソメを注ぎ入れるなど、軽やかさとエスプリを漂わせて仕上げている。
だが、この店で室田シェフが真に表現したいこと、それは単にジビエを看板メニューすることだけではない。それを通して古きよき王道のフレンチ――すなわち、フランスの古典料理を再現していきたい。そう考えているのだ。
その代表的なひと皿が〝パテ・ショー〞だろう。サクッと軽やかなパイ生地に包まれたミンチ肉は、鉄分の旨みが濃い鹿肉に野性味溢れる熊、脂の甘みが持ち味の猪の三者そろい踏み。中央のフォアグラのコクとトリュフの香りが芳醇さをプラス。
大地と森の精気をいただくような力強いひと皿は、わざわざ足を運ぶにふさわしいスペシャリテ。フォン・ド・ヴォーベースのしっかりとしたマデラソースと共に味わえば、赤ワインが進むに違いない。
年末の華やかな雰囲気が近づき始めた今、『ラチュレ』での記憶に残る美食体験を計画するのもいいだろう。
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この記事で紹介したお店
ラチュレ
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