東京シンデレラ Vol.2

東京シンデレラ:東京で素晴らしい女性になるから。素敵なカバンと、靴をください

年上の彼氏。


店に入ると、すでに真理亜の彼・リュウジさんは席に着いてシャンパンを飲んでいた。

リュウジさんは、素人の私でも名前を聞いたことがあるほど有名なフォトグラファーで、数々の芸能人の写真集などを手がけている人だ。

40歳になるというリュウジさんと、真理亜の年齢差は17歳。

よくもまぁ、こんな歳の離れた人を地位や名誉だけで好きになれるな、と思いながら、軽い軽蔑の視線を真理亜に送る。

それでも本人たちは私の視線なんぞお構い無しに楽しそうにしており、『ダイニズ・テーブル』のクラシカルでシックな店内に、彼らの笑い声が響き渡る。


「今度ね、彼の撮影があるから一緒にパリに行くの。一応、アシスタントってことで。」

真理亜の生活が派手になった背景に、リュウジさんの存在が大きいことは明らかだった。

芸能人や編集長クラスでしか呼ばれないハイブランドのオープニングパーティーに、連日『かんだ』『しのはら』での食事。

しかも写真には必ず、そこの有名シェフやオーナーが写っている。その隣に、著名人がいることも多かった。

「彩乃ちゃんはね、アパレル関係の会社で働いているの。あと東京出身なんだよ。」

「へぇ〜そうなんだ。東京の、どこ?」

二人の会話に、ハッと我にかえる。“ちょっと柄が悪い土地ですが”なんて謙遜しながら素直に出身地を答えると、リュウジさんから全く想像していなかった一言が飛び出した。

「あー、ナルホド。東京と言っても田舎の方ね。」


—え...今なんと...?


突然の発言に、戸惑いが隠せない。たしかに良いエリアではないかもしれないが、一体、この人は何様のつもりなんだろう?

しかし聞けば、リュウジさんの生家は元麻布にあり、有名な私学一貫の男子校に小学校の時から通っていたという、まさに“東京の中心”で生きてきた人。

その生い立ちに、何も反論できなくなる。

正直、私は真理亜を“地方出身者”と見下していた。

それなのに、何だろう。この「港区界隈>その他東京>地方」という目に見えないヒエラルキーは。

東京出身の私も、見下されるなんて。

納得できない思いを抱えながら、運ばれてきた料理を黙って食べた。その間も、リュウジさんの話は止まらない。

「ちなみに、彩乃ちゃんは今どこに住んでるの?」

池尻大橋です、と小声で答えると、今度は驚いたような顔をされた。

「俺さ、移動時間が人生で一番無駄だと思ってるんだよね。だから、この界隈以外に住むとか、考えられなくて。」

リュウジさんの言葉に頷きながら、真理亜が言った。

「彩乃ちゃんも、早くこっちの方に来れば?」

この記事へのコメント

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もっと素直に、東京の街は素敵だと思える記事読みたいな。いろんな人がしのぎ削りながら懸命に頑張ってる、苦しい時もあるけど思いがけない優しさがある、それが東京なんじゃないかと思ってる。
2017/10/17 08:4983
No Name
40の大の大人のおじさんにもなって23のコにこんな無神経な発言する人なんて(しかも彩乃はバカな発言したわけでもなくただ聞かれたこと正直に言っただけ)、付き合ってるうちはキラキラ生活させてもらえて楽しいかもしれないけど、思いやりのかけらもない人とのキラキラ生活は長くは続かないからいちいち僻まずさっさと忘れたほーがいいよ
2017/10/17 12:4265
No Name
でも、彩乃だってこのコミュニティでステイタスを築きたくて、まりあを利用してるわけでしょ?
前回の出会いから考えて、親友とは思えないし。

あまり人のこと言えない。
2017/10/17 07:3753
No Name
リュウジ嫌な男だなあー。早くこの上辺だけの世界から抜け出して、キャリアを磨いて堅実に生きるのが一番だと思うけどな。
2017/10/17 06:0446
No Name
そもそも他人カップル+1(自分)という3人になる状況をなぜ作るか分からない。この2人じゃなくてもっと普通のカップルでも全然楽しくないと思う。あと、ブランドバッグは月額6800円でレンタルし放題のアプリあるからCHANELのバッグ見つめて10分過ごす必要無いかも。
2017/10/17 12:1931
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