最旬の美味! 勢いに乗る実力派の現在の皿 Vol.1

Japanese The present dish

東京カレンダーが考える、和食の最前線

割烹 喜作

Special dish
鱧松茸の小鍋仕立て

まず、森の香り。赤松の木々の根元で育ったんだなぁという清々しい香りが、グツグツ煮え立つ出汁の中でどんどん膨らんでいく。鰹と昆布の一番出汁に鱧の、そして松茸のエキスが溶けている。ああ、だから“鱧松茸”なのか。馥郁たるスープが喉を温かく通り過ぎていく時、納得せずにはいられない。

『割烹 喜作』主人、森義明氏は秋のこのひと品のために陶芸家、岡晋吾氏に器を特注した。焼きっぱなしの素焼きの器は極めてシンプルなこの料理への森氏の思いを代弁する。「スダチ? 必要ないですよ。ハモマツだから鱧と松茸だけで十分でしょう」と。刃で切らず、カサにちょんと包丁目を入れ、手で裂くことで断面から松茸の香りを目一杯引き出す。他の素材を足すでもなく、引くでもなく、ほんの少し手を添えるだけ。森氏が目指すのは古くも新しくもない、王道をゆく日本料理である。¥15,750~のコースのひと品。

虎白

Special dish
トリュフ雑炊

神楽坂『虎白』の小泉功二氏が開店当初から供している定番、それがこの『トリュフ雑炊』だ。椀を開けた時に感じる黒トリュフの香り、それ以上に驚くのは醤油とトリュフの相性。食感だけでなく、お互いを引き立て合う調和のとれた味に、ただ奇を衒っただけの料理ではないと得心する。この日は炭で焼いた後にバター醤油で仕上げたトウモロコシを使っているが、野菜は季節に応じて。冬から春にかけてはレンコンになる。

「食材ありきで変わる季節料理の中で、この雑炊だけは必ずお出しする締めです」。季節に応じて多彩に変わる氏のコースで、最後にこの1杯が登場する驚きは格別。「またワインが飲めちゃって、締めにならない」と笑う常連が多いのもうなずける。時に繊細に時に大胆にあらゆる手法を駆使し理に適った意外性を料理に忍ばせる、これぞ氏の真骨頂といえる料理だ。¥15,750~のコースのひと品。

森義明

Yoshiaki Mori

京都の日本料理店など数店を経て、北海道『ザ・ウインザーホテル洞爺』の『杜氏賛歌』勤務時にサミットを経験。2010年4月に麻布十番に『割烹 喜作』開店し、独立。正統派日本料理を目指す。

小泉功二

Koji Koizumi

1979年神奈川県生まれ。石川秀樹氏の下で研鑚を積み、2003年『神楽坂 石かわ』のオープンに参加する。2008年『神楽坂石かわ』移転リニューアルに伴い、同地で『虎白』を開店、料理長に就任。


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