2011.10.21
不朽の名作スペシャリテ Vol.3日本イタリアン界のトップの手による、完璧なる一皿
現役バリバリの大ベテランであり、若手の有望株を続々と世に送り出す、
日本イタリアン界のツートップ。その計り知れない功績を、このふた皿が静かに物語る。
2011.10.21
不朽の名作スペシャリテ Vol.3現役バリバリの大ベテランであり、若手の有望株を続々と世に送り出す、
日本イタリアン界のツートップ。その計り知れない功績を、このふた皿が静かに物語る。
牛テールの煮込みのスパゲティ2,520円。アルポルトの隠れた定番メニュー「コータ・ディ・バチナーラ」を、パスタにアレンジしたひと皿。赤ワインのほのかな風味とトマトソースのまろやかな酸味がほど良く調和したソースもマイルドで美味。そして、そのソースをたっぷり吸い込み、柔らかく煮込まれた牛尾がパスタと絶妙に絡まる。味のポイントは、たっぷりのセロリ。食後感は繊細。優しく温かな気持ちになれる佳品。
開店以来28年。ここ『アルポルト』の厨房で作り続けられてきた「牛尾の煮込み」ことローマの名物料理「コーダ・ア・ラ・バチナーラ」。コーダとは牛尾、バチナーラは種痘に使う牛痘を集める種痘夫(バチナイオ)を意味するイタリア語で、もともとは捨てられていた牛尾を種痘夫たちが持ち帰り、美味しい料理に仕上げたことから付いた名前とか。「そのままでは食べられないような食材を、手間と愛情でこんな素敵な味にしてしまう。この料理のそんなところが好きですね」とは、片岡護シェフ。
口の中でホロリとほどけるほど柔らかく煮込まれた牛尾は、自らの旨みとソースの風味がバランスよく広がり、優しくも品のいい余韻を残す。味の決め手となるのは、たっぷりのセロリとA5ランクの和牛の牛尾を使うこと。今回はこれを贅沢にもパスタと和えたひと皿に。赤ワインとトマトソースがじっくりと染み込んだ牛尾と絡むその味わいは、パスタを超えたる美味しさだ。
プリフィクスコース¥3,990のメインから選べる。仔牛のロース肉を薄く叩いてのばし、少量の油でじっくりと焼き揚げたミラノ風カツレツのベットラ版。本来なら骨付き仔牛で作るところ、ここでは、仔牛のかわりに、品質的に安全な群馬のクイーンポークを使用。サラダ油とオリーブ油にバターを加えて風味良く柔らかに仕上げている。トマトやルーコラをあしらい、サラダ感覚で食べられるのも人気の秘密。
"コメ・イル・ソーリト"。これはいつも変わらず、同じものを作り続けることへの敬意を表すイタリアの言葉だそうで、まさに、ここ『ラ・ベットラ・ダ・オチアイ』はそれを地で行く1軒。3,990円のコース価格に、選ぶ楽しみを満喫させてくれる豊富なメニューと変わらぬ味。開店して15年、予約の取れないレストランとして、人気を誇る理由はそこにある。
いずれ劣らぬ人気メニューの中でも、落合務シェフ自身、思い入れの深いひと皿がこの「クイーンポークのカツレツトマトとルーコラのサラダ添え」だ。本来なら骨付きの仔牛肉で作るミラノ風カツレツのアレンジで、ここでは豚肉で応用。数枚の肉を叩いて薄くのばしては折りたたみながら、これらを合わせて1枚の肉のように仕上げていく。このひと手間でどこの部分を食べても柔かいカツレツが出来上がるというわけだ。トマトやルーコラをたっぷりめのドレッシングと和えて、ソースがわりとして食べるスタイルも落合流。王道の美味しさだ。
2011.10.21
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