日曜日の女 Vol.1

日曜日の女:唖々悲しきかな、勘違い乙女。モテる小悪魔気取りな女の、哀しい実態

東京には、都合の良い勘違いをしている女が多い。

麻布十番で会員制サロンを開いている麗子のもとにも、毎週のように勘違い女が現れる。

麗子は毎週日曜日になると、その週に出会った女たちを振り返るのを趣味としている。

さて、今週麗子を驚かせた女とは?


<今週の勘違い女>
名前:カナ
年齢:29歳
職業:美容部員

何かというと、モテ自慢に変換する女


麻布十番駅から歩いて8分ほど。

少し奥まった路地裏にある一軒家が、会員制リラクゼーションサロン「angelle(アンジュール)」だ。

オープンして1年になるここで、オーナー兼メインセラピストをしている麗子。

「ありがとうございました。」

日曜20時。深々と頭を下げながら、今夜最後のお客様が帰ったのを見届ける。

おへその下あたりで組んだ自分の両手を見つめてきっかり10秒後に、麗子は顔を上げた。

「今日も無事、終わりね…。」

店内へ戻り、お気に入りのBruno Marsを聴きながら掃除を始める。注意深く売り上げの確認をし、レジを閉めた。

明日は久々のオフだ。

店を任せている陽子への連絡事項をメールで送り、麗子は店を出た。

「それにしても、今週水曜日に来たカナさん、強烈だったわ…。」

誰に聞かせるでもなく、麗子はひとりごちた。

カナは最近アンジュールに通うようになった常連で、月に2回は店にやってくる。

そうして、やってきては思わず閉口してしまうような「モテ自慢」をしていくのだ。

この記事へのコメント

Pencilコメントする

コメントはまだありません。

【日曜日の女】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo