肉の街に誕生した新星はNZ発、十番育ちの熟成肉
ある日、席に着いたら、隣の男性が食べ終わったステーキの皿が下げられるところだった。少しおいてキッチンから別のサービスマンが皿を持ってやって来る。その行方を追うとまたしても隣の男性へ。今度は1本¥350のラムチョップが何本も盛られている。ここでは肉また肉!目眩く肉の世界を堪能するゲストが引きも切らない。
まず、入口で出迎えてくれるのが肉セラーなのだ。大きな塊がいくつもぶら下がる様子はまるでアート。オブジェたる肉はニュージーランドから直接仕入れた「WakanuiBlue ビーフ」なるブランド肉のみ。古来より欧米では海風に吹かれて育った家畜は味が良いとされ、この肉も最初の約18カ月は牧草地で、さらに太平洋に面した肥育場に移され、穀物飼料で育てられる。
これを真空のウエットエイジング状態で船で運び、2~3週間。さらにセラーで2~3週間ドライエイジング。そうして熟成した肉を焼いた「Wakanui Blue ビーフ 骨付きリブアイ1066g」がこの店のマスト・ミートである。
ドライエイジングにより適度に水分が抜け、旨みが濃縮した外側は炭火に燻された香りとカリカリした食感。中心部を切り分ければビロードのように滑らかで柔らかい。気が付けば、場所ごとに変化する味わいに夢中。数人でシェアしても、ひとり占めでも、1㎏なんてペロリ完食だ。