2017.07.30
連綿と継承されてきた、文化としての江戸前を今日も貫く、職人の凄み
『鮨 奈可久』
肩書は鮨職人。今回、鈴木隆久氏の名刺で、改めて発見したことだ。『鮨 奈可久』が六本木に誕生したのは昭和54年。現在地に移ってから数えても20年の月日が流れた。カウンターに鎮座する氷柱は銀座『なか田』の親方から学んだ術。16kgの塊を今も毎朝、仕入れている。
「数年前、科学的に検証したらネタを濡らさず鮮度を保つ、最も理に適った方法とわかった」
つまりは、そういうことなのだ。理屈でなく、経験で最善をずっと積み重ねてきた。だから鈴木氏も「文化」と言い切る江戸前の今日がある。
「江戸前の塊」と胸を張る太巻きにはおぼろ、かんぴょう、煮穴子に茹で海老。玉子はじっくり焼き上げるし、椎茸は「10日かけて味を入れる」煮付け。ともかく食べれば渾然一体の味に酔いしれる。ただ旨いと唸ってしまう。
「適当なことをやって、『そりゃぁ、違うよ』なんてお客様に言われるわけにはいきません」。職人の矜持が明日の江戸前へと連なっていく。
写真は「蛸の桜煮」。しっかりした旨み、ほろりとした軟らかさに感激。料理はすべておまかせ¥17,280の例。
※この店舗は、現在休業しております。
本能を直撃する旨さ。命の力を皿に込めて、艶やかに、力強く
『日本料理 龍吟』
遮二無二。『日本料理 龍吟』の山本征治氏から、いつも思うのはそのひと言。さらに食してまた、いつものように感じるのだ。何と明快に旨いのかと。山本氏は断言する。「それは私の力でなく、命の力」。
例えば、夏なら天然鰻。「琥珀」と題した、それは皮目のみパリッと音が出るほど香ばしく、その一方で身はふんわり。驚くべき食感の対比の中で艶やかに、しかし、力強く鰻そのものの魅力が立ち上ってくる。案ずるより早く、まず心身が旨いと叫び出す。
この感激を呼び覚ます技こそ、氏の真骨頂。皿に盛り込まんと欲するのは日本料理の本質で、古来より国土が四季折々で育んできた、豊かな食材のエネルギーを、作り手と食べ手が「何とも言えない美味しさ」で共有する。そうした料理をいつも模索してきたのだ。
曰く、「日本料理の力を信じて」。そうした月日を積み重ね、『龍吟』は今年12月23日で15年目に突入する。
写真は「盛夏湯煙(せいかゆけむり)」。讃岐オリーブ牛に山椒餡をかけて仕上げる龍吟流しゃぶしゃぶ。
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鮨 奈可久
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