出世の花道 Vol.4

出世の花道:日本社会は体育会系が有利?文系男には真似できない、出世の近道

出世したい―。

サラリーマンである以上、組織の上層部を狙うのは当然のこと。

だが、仕事で結果をだすことと、出世することは、イコールではない。

そんな理不尽がまかり通るのが、この世の中だ。

出世競争に翻弄される、大手出版社同期の2人。

果たして、サラリーマンとして恵まれているのは、どちらだろうか。


秋吉直樹(34歳)は同期の武田壮介から引き継ぎ、作家・西内ほのかを担当することになった。最初は不服だったが出世のためと割り切り、仕事に打ちこもうと決めた。


「あっついな~……」

飯田橋駅を出て、外堀通りと大久保通りが交差する信号。

直樹はそこで、信号が青に変わるのを待ちながら、ギラギラと照りつける太陽を睨むように見上げた。

直樹が出勤するのはいつも、太陽が一番高くにある時間帯。

朝が苦手な直樹にとってはちょうど良いリズムだが、真夏のこの時期は会社に着くまでの間に、1日の半分近くのエネルギーを消耗している気がする。

目の前には見ただけで暑苦しさを感じる、黒いスーツに身を包むサラリーマンが立っている。

髪の毛先は濡れ、粒になった汗がぽとりと肩に落ちるのが見えた。

―スーツ、大変だよなぁ……。

暑さでぼーっとする頭でぼんやり考えた。

直樹は、今でこそ編集部に所属しているためスーツなんて滅多に着ないが、営業部にいた頃は毎日スーツを着て都内を歩きまわっていた。

スーツは、サラリーマンの象徴だ。

亜熱帯気候になろうとしている夏の東京で、スーツを着続けるなんて愚行だ―。

そう騒ぎ立てるアンチスーツ派のコメンテーターや何かの評論家も多く、直樹もその考えには大いに賛成だ。

だが、東京がどんなに灼熱の地になろうとも、スーツを着たサラリーマンが消えることはないだろう。

―サラリーマンには、無駄な慣習が多すぎる。

スーツもそうだし、飲みにケーションと言われる酒の付き合いもそうだ。

そんなことを考えると決まって頭に浮かぶのは武田の顔だ。直樹にとって武田は、日本のサラリーマンの象徴だった。

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