赤坂の夜は更けて Vol.14

赤坂の夜は更けて:「彼に依存する自分が嫌」男を狂わす、身勝手な女

夜更けの赤坂で、男はいつも考える。

大切なものができると、なぜこんなに怖くなるのだろう。

僕はいつも同じところで立ち止まり、苦しみ、前を向こうとして、またつまずく。

41歳、テレビ局のプロデューサーである井上は、ひとりの女と出会う。

彼女の名前はハナ、29歳。ひと回りも年下の女だった。

井上は改めてハナに真剣な気持ちを伝えるが、その返答は曖昧なものだった。


悩める男に突き刺さる、女友達からの一言


「なぁ。年の差ってそんなに気になるもの?」

仕事終わり、『バー ティアレ』で、井上は静香に相談していた。ハナに再度想いを告げたものの、その反応が芳しくないものだったからだ。


―ちょっと、考えたい。


その言葉を、どう受け取ったらいいのだろうか。色々考えた結果、過去に彼女が「だって一回りも年が違うし」と言っていたことを、思い出したのだ。


「……静香の前の旦那、同い年だよな?やっぱり先のことを考えると、年の差って気になるわけ?」


20代の頃の静香は、年上の男とばかり付き合っていた。その中には、一回りどころか二回りほど違う男もいたはずだ。しかし静香の結婚相手は結局、同い年の男だった。しかも、2回とも。

すると静香は、その事実に今気づいたとばかりに「そう言えば2人とも同い年ね」とうなずいた。


「なんだよ、もう。頼りにならないなぁ」


ふてくされた井上の様子に、静香は「ご乱心ね」と笑った。そしてしばらくの沈黙のあと、ロックグラスに入ったウィスキーを一口含み、真面目な顔でこう言うのだった。

「……でも。好きなときは好きって言うわ」

そして次の言葉に、井上はひどくうなだれた。

「たとえどんなに年が離れていても、ね」

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