女が女になる年齢:人と比較しないと安心できない女たち。そこから抜け出す女の共通点
「ねえ、するの、しないの?!」
黙ったままニコニコするだけの麻里子に、智美がもう一度言った。
麻里子は「それはねぇ……」と言って、いたずらにもて遊ぶ。さすがに智美が本気で怒りそうになったタイミングで、一言だけ言った。
「するよ。でも、しない」
すると案の定「何それ?!」と激しい突っ込みを受けた。
「いずれはするけど、それはお互いのタイミングが合った時かな。高史はもっとゆっくり進めたいって言ってるし、私もそれが良いと思う。だって、たしかに私たち付き合ってまだ1年も経ってないしね」
麻里子が笑って言うと、智美が驚いた表情で口を開いた。
「なんでそんなにスッキリした顔で言えるの?この前まで、もうこの世の終わりみたいな顔してたのに!」
智美に、納得できないと言わんばかりに詰め寄られる。
「ちょっと落ち着いてよ智美。なんだかね、今までってちゃんと自分で考えてなかったんだなって気づけたの。智美が教えてくれたあの動画のおかげでもあるんだよ」
「そうなの?」と驚く智美に、麻里子は心境の変化をゆっくり説明した。
高史に言われた「どうしてそう30歳を重く捉えるの?」という言葉。
尊敬する先輩・泉に言われた「自分で自分を縛りすぎている」という一言。
すぐには理解できずに、それらの言葉はモヤモヤと麻里子の中に漂っていたが、智美と泉が教えてくれたあの動画を見てから、なんとなくクリアになってきた。
高史と泉が言いたかったことの本質が、見えてきたのだ。
それまでの麻里子は、人からどう見られているのか、まわりの女性と比べてみた時に自分はどの辺に位置するのか、そんなことばかりを気にして、ビクビク何かに怯えていた。
いつも、他人と自分を比べて、喜んだり落ち込んだりしては、自分で自分にプレッシャーを与えていた。その最たるものが「30歳までに結婚」という目標だったように思う。
だがそれは、きちんと自分の人生を生きていないのと同じではないかと気づいたのだ。
「女は、30歳がひとつの区切り」と思いこみ、その理由も「なんとなく、そんな雰囲気だし……」と曖昧だった。
最初から自分で考えることもせず、漠然とした焦りを募らせていた。
―私の人生は、私のもの。だから、私が決める。
「もう何歳だから」なんて、年齢で自分の可能性を狭めない。人からの判断に、自分を委ねない。
そんな当たり前のことにも思い至らなかった自分が、今となっては笑ってしまえるくらい可笑しい。
そう思えるようになってからは、年齢を重ねることが何も不安ではなくなったのだから、本当に不思議だ。
泉が言った通り、年齢を重ねた女性にしか出せない魅力は沢山ある。
品格、包容力、優しさ、豊富な知識、洗練された所作……。
女の人生が引き算だなんて、大間違いだ。男も女も、人生は自分の考え方次第でいくらでも豊かにしていくことができる。
今の麻里子は、素直にこう思える。
30歳を迎えることは決して終わりなんかじゃない。新しい10年の、女が本当の意味での女になる年齢のスタートなのだと。
―Fin.
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