港区おじさんコレクション Vol.8

港区おじさんコレクション:港区の完全紹介制パーティーで、女が仕掛ける罠

外資系投資銀行でバックオフィスを担う、有希、30歳。

港区の酸いも甘いも知り尽くした彼女に与えられた呼び名は、“港区おじさんコレクター”。

数々の港区おじさんをコレクションしていた有希のポートフォリオに突如として入り込んできた浩介によって啓一との苦い記憶を呼び起こされた有希。

しかし大輔の力強い助言により前向きな気持ちを取り戻すと、過去を清算し、新たなポートフォリオを組み始めることにする。

彼女のハンティング・スポットは、職業、学歴、収入の揃った港区おじさんが集う紹介制パーティーだ。

出会いは一期一会。最初の印象が全てを決める。


元彼のことを思い出して塞ぎこんでいた有希だったが、週明けになるとその思いも晴れていた。

すっかり元気を取り戻した有希はアイス・ティーを口にしながら、同僚のエリカと麻衣を待っている。

今日、3人は連れ立ってパーティーに出かける。イギリスの社交クラブのような異業種交流会が日本にも存在し、職業、学歴、収入の3拍子が揃った男女が集う。完全紹介制のそのパーティーは、出会う相手の最低クオリティは保証されているのだ。

「ごめん。ちょっと会議が長引いて!」

髪の毛をシニヨンにまとめ、誰もが振り返るような赤いタイト・ワンピースをまとったエリカと、ロングヘアをなびかせ、花柄のスカート揺らしながら走る麻衣が見えた。

コントラストがばっちりだな。

有希はTheoryの黒いワンピースの裾を整え、立ち上がった。

週の後半になると会食や会議のため参加率が下がるからか、異業種交流会はなぜか月曜日開催が多い。異業種と言いつつも弁護士、会計士、外資系金融勤務者、事業会社社長、とビジネス・リレーション上繋がりのあるメンバーが多い。

忙しいエリート男性は、自分にメリットがないと見切れば付き合い程度に顔を出し、帰宅してしまうことも珍しくない。人に寄ってこられることに慣れている男性に対して、1人で戦うのは得策ではない。

自分の印象をどれだけ相手に残すことが出来るかが勝負になる大人数のパーティーは、複数人の女性で行くほうが良い。

相乗効果のあるような相手と群れることで、スポットライトが自分たちの上に落ちてくる。タイプの男性が異なれば、女性同士での仲間割れの懸念もない。

実際に、有希、エリカ、麻衣の3人が会場に足を踏み入れると、男性陣の目線は目の前の女性を離れ、華やかに登場した3人に注がれた。

まずは「3人で来ていたうちの1人」と男性の脳裏に刻むことに成功だ。

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