2017.07.01
丸の内のプーさん Vol.1「可愛い」キャラを確立した、意外にモテるプーさん
色白のモチ肌に、ぽっちゃり体型。
黒目がちな奥二重のつぶらな瞳に、小ぶりのアヒル口。
―こいつ、巷では“丸の内のプーさん”って呼ばれてるから―
いつかの食事会で春彦に突然そんな風に揶揄され、女子たちに爆笑されたときは怒りと羞恥で身体が張り裂けるかと思った。
しかし、このキャッチコピーは思いがけず「可愛い♡」とウケが良く、それ以来、江森はプーさんという名の愛されキャラを確立している。
自分を春彦のようなイケメンだなんてもちろん思わないが、決して不器量なわけでもない。
外見にはそれなりに気を遣っているから清潔感は保っているし、クセのない無難な顔立ちは、意外に女子に人気が高いのだ。
それに、「イケメンってちょっと苦手......」との声も、かなり多い。
よって、春彦を呼び水としてサイドのポジションを固めることで、得られるメリットは十分にあった。
すっかりブランド化された「港区」の生まれ育ちであることも、年を追うごとに自分の武器になっている感覚がある。
証券マンという肩書きだって悪くない。元来のマメな性格が手伝って、営業の成績は同期の中でもトップだった。
「お前って、本当に女のことばっかり考えてるよな。チャラい奴は、そのうち刺されるぞ」
「ハル、分かってないな。ボクはチャラいんじゃなくて、誰にでも平等に優しいんだ。博愛主義なんだ」
先ほどの生肉撮影女・亜美を含め、週末デートを予定している3人の女たち(ディナー×2、ランチ×1)にLINEを打つ江森を、春彦はやはり呆れたように眺めている。
ラーメンだけでは腹が満たされなかったのか、春彦は餃子やら酢モツやら、追加のツマミを次々とオーダーした。
もう30歳になったというのに、この男の体型はシャツ姿の上からでも分かるほど、全く贅肉がなくスラリとしている。きっと、細胞レベルで作りが違うのだろう。
「ところでハル、お前は最近どうなんだ?」
「それがさ、俺、ヒカリと結婚するかも」
江森は、思わずイスをひっくり返しそうになるほど、勢いよく飛び上がった。
「お、お、おまえ...、ヒカリって、あのヒカリ?!いつの間にあんな女を......!」
ヒカリというのは、某人気ファッション誌の表紙をしょっちゅう飾る人気モデルだ。
しかし、ただの美貌のモデルならまだしも、ヒカリは有名デザイナーを親に持つ超のつくお嬢様だ。学生時代から顔見知りではあるものの、高嶺の花どころでなく、異次元レベルの女だった。
「まぁ、たまたまそんな感じになって、たまたま向こうの親にバッタリ会っちゃってさ...。それに、俺ももう30歳だし、子どもとか欲しいからさ」
「う、ウソだろ...。お前が、子ども...?」
あまりの驚きで声を裏返してしまいながら、自称博愛主義の気の多い男・江森は、親友に焚きつけられ、初めて「結婚」というものを意識した。
▶NEXT:7月8日 土曜更新予定
毎週のように開催される結婚式に、さらに結婚願望を触発されるえもりんだが...?
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
【丸の内のプーさん】の記事一覧
2017.09.05
Vol.11
ピュアな恋に憧れる“こじらせ”男を救った、惚れた女の意外な一言
2017.09.04
Vol.10
いよいよ明日で最終話!「丸の内のプーさん」全話総集編
2017.08.29
Vol.9
真夏の丸の内の恐怖体験。男への執念ゆえ、結婚詐欺を企む女
2017.08.22
Vol.8
同じフォルムのOLが湧き出る19時×丸の内南口。独身貴族のお眼鏡にかなう女子はいるのか?
2017.08.15
Vol.7
「家に、行っていい...?」傷心女の爆弾発言は、据え膳か?それとも...
2017.08.08
Vol.6
「自分大好きな、薄っぺらい奴。」拗らせ男の心をエグった、イケメン親友からの“憐み”
2017.08.01
Vol.5
そろそろ、西麻布なんか卒業したい。証券マン30歳が、港区女子に疲弊した日
2017.07.25
Vol.4
28歳美人CAとの鮨デートの悲劇。まさかの19時解散を強いられた男
2017.07.15
Vol.3
興味はなくても、失いたくない女。男のエネルギーを吸い取る損保OLデートの実態
2017.07.08
Vol.2
「“ふつう”の子と結婚したい」は、ヤバい男の独身フラグ
おすすめ記事
2017.02.17
五反田ラバー
いよいよ明日で最終話!「五反田ラバー」全話総集編
- PR
2024.11.20
銀座で女性と過ごす夜。アイリッシュウイスキーが引き寄せた、2人だけの密やかな高揚とは
2022.09.08
キューティーワイフの逆襲
「ブラックカード使い放題だったのに…」セレブ妻が離婚で転落。再起をかけてあることに挑戦するが…
2019.10.04
Love Letters
Love Letters:「ずっと我慢させてたなんて…」。子供を望む夫の夢を、叶えられない妻の苦悩
- PR
2024.11.18
総勢100名に当たる!西友&東急ストアで「スプリングバレー」を買って東カレ厳選グルメをもらおう!
- PR
2024.11.21
クリスマスは絶景を望むホテルデートへ!彼女がワッと喜ぶ、とっておきの夜を丸の内で過ごすなら…
2016.12.26
Wakiyaメン
Wakiyaメン:きっかけは、高嶺の花との恋。担々麺さえも恋愛ツールにしてしまう男たち
2017.05.17
結婚できない女
私と釣り合う男はいずこ?「これは高望みではない」と言い張る、結婚できない女
2020.03.22
14日間の恋人
「運命なら、またどこかで会えるはず」。一夜限りの名もなき男が、女に対して取った行動
2018.01.27
新婚クライシス
「部屋に行ってもいいですか?」孤独に苛まれた別居夫婦を襲う、家庭外の甘い誘惑
東京カレンダーショッピング
『佐藤養助商店』:門外不出の技による、喉ごし滑らかな"稲庭干饂飩"
『かに物語』:ふっくらと肉厚な一本爪が2本入ったフレンチカレー
『西岡養鰻』:特製タレ付き!脂の乗った高品質な鰻を土佐備長炭で丁寧に焼き上げた蒲焼
『マルヒラ川村水産』:ご飯に載せて贅沢いくら丼!1粒1粒に旨みが凝縮された、とろける食感の北海道函館産天然いくら
『North Farm Stock』:北海道産ミニトマト使用!糖度が高く、コクとうまみがたっぷり詰まったトマトジュース
『ル・ボヌール 芦屋』:フリーズドライフルーツにホワイトチョコがたっぷりと染み込んだ新感覚スイーツ
『HAL YAMASHITA 東京』:シルクのようななめらかさ!冷え冷えトロリの新食感"ウォーターチョコレート"
この記事へのコメント