2017.07.01
5年振りのリニューアルで新たな魅力を発信
「ザ・プレミアム・モルツ」
この春、「ザ・プレミアム・モルツ」は5年ぶりのリニューアルを図った。プレミアムビールの市場を切り拓いた同製品。注目のリニューアルの狙いや、工場の名称を新たにした背景について、サントリーでビールの生産・研究を統括する、醸造家の岡賀根雄氏に聞いた。
「今春より『サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野ブルワリー』と名を改めました。〝水と生きる〞をコーポレートメッセージに掲げるサントリーですが、私たちの事業にとって最も重要な資源は水。この武蔵野ブルワリーをはじめ、工場はすべて良質な天然水が採れる場所に建てられています。
それだけでなく、私たちは次世代の水を〝育む〞ために、「天然水の森」の保全活動にも、積極的に取り組んでいます。工場の改名は、そのことをより明確に、お客様にお伝えするためでした」
入社以来、ビール畑ひと筋で30年以上も突き進んできた醸造家である岡氏。今、彼の目の前にはビールの試作品がいくつも並んでいる。
「人間の感覚を使って、製品を検査する官能テストはほぼ毎日。試作品を検査するときはどんな良さがあるか考え、味わいながら試飲します」
彼ら醸造家の努力と熱意から、2003年に誕生したビールが「ザ・プレミアム・モルツ」だ。華やかな香り、深いコクで従来の常識を覆したビールだが、あえて今春リニューアルを果たしたという。
「確固たるご評価を頂いている『ザ・プレミアム・モルツ』ですから、リニューアルに関して、いろいろと意見はありました。しかし、ビールづくりは毎年、進化していくもの。自分たちの腕も年々磨かれていきますし、より美味しくするための知見も蓄積されていく。
今回は2012年以来のリニューアルになりますが、この5年の間に変化したニーズを見据え、磨かれた腕と蓄積された知見も踏まえてもう一度、私たちが考える本当のプレミアムを、お客様にお伝えすべき時期が来たと判断しました」
目指したのは圧倒的な美味しさ。「ザ・プレミアム・モルツ」の骨格はそのままに、進化させることだった。議論を重ねていく中で、辿り着いたのは、深いコクと、溢れだす華やかな香りの実現――。
「香りというのは2種類あるんです。飲む前に鼻で感じる香り、それから、飲んで喉を通るときにまた立ち上る香り。今回はとくに、その後半の香りをより進化させました。まず華やかな香りが立ち上って、次に深いコク、そして、また口の中で香りが膨らんでいく……そんなイメージです。
そのバランスを追究することで、味わいと香りの余韻を実感しつつ、さらにまた次の一杯が欲しくなる美味しさを実現したというわけです」
挑戦は、世界最高峰を目指す醸造家の想いから
今回のリニューアルで大きな役割を担った知見。それは一朝一夕では得られなかったと岡氏は言う。
「ビールには醸造条件というものがいろいろあって、それをひとつ変えるだけで味わいは変化するものなんです。こうした味わいの変化が知見。つまりは試行錯誤の積み重ねですが『マスターズドリーム』を10年かけて開発したときの知見が反映されています」
単に何かの量を増やしたからといって、目指す味わいが完成するわけではない。大切なのは、サントリーの醸造家たちが半世紀以上の歴史の中で多くの知見を積み重ねてきたという事実なのだ。
「『ザ・プレミアム・モルツ』は当初から世界最高峰をつくりたいとの想いがあり、その想いを実際に形にしたビール。挑戦させてもらえる風土がサントリーのDNAなんです」
そうして岡氏は言うのだ。
「私は、ビールの愉しみはひとつでなくていいと思っているんです。『ザ・プレミアム・モルツ』と別の方向に目を向ければ、『マスターズドリーム』の味わいがある。私たちは、それぞれの味わいで最高峰を目指していきたいと思っています。
そういう意味では『〈香る〉エール』のようなエールタイプのビールもまた違うひとつの最高峰。いろいろある日常の中のワンシーンに私たちのビールがあって、そのときの気分に応じて、寄り添うことができる。そんな毎日に少しでも貢献できたら嬉しいですね」
サントリーという土壌があり、そこで切磋琢磨する醸造家がいる。だからこそ、常に製品が進化する。彼らの想いが詰まった「ザ・プレミアム・モルツ」を、ぜひ感じてみて欲しい。
「ザ・プレミアム・モルツ」のカギとなる3つのポイント
名称変更により、メッセージ性が向上
東京・府中にある工場の名を「サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野ブルワリー」と改め、天然水を重要な資源と位置づけるサントリーの姿勢をより明確に発信できるようにした。
要となる原料は麦芽とホップ、そして天然水
ダイヤモンド麦芽のように硬質だが、芳醇な味わいを醸す原料の個性を見極めることも大切。そうした個性をバランスよくまとめて、トータルで「深いコクと溢れだす華やかな香り」を実現。
数多の知見を積み重ね、世界最高峰を目指す
「麦汁を煮込む仕込み温度を少し変えたり、麦の量を調整したり。ビールは醸造条件を変えるだけで味わいが変化する」と岡氏。工場で積み重ねられた知見から今回のリニューアルは完成。
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