2017.05.28
同時代に生まれて幸せ。人ではなく、そんなことを思わせる、とんかつ屋がある。創業78年の歴史を誇る『とんき』がそれだ。
大人が辿り着くとんかつの最終到達点は目黒にあり
『とんき』
眉目秀麗。皿が届いた瞬間に、そう感じるのは、きめ細かなパン粉がみっしりと分厚い肉を包み込んでいるからか。『とんき』のロースかつは、いつの時代も向き合う人々を魅了してきた。創業は昭和14年。現在地に移ってから数えても今年で50年という、目黒を代表する名店だ。
かつにかぶりつけば、またウットリ。ザクッと衣の香ばしさを感じた後に、追いかけてくる瑞々しい肉汁、スパイシーだがやや丸みを帯びたソースに、思わずごはんが欲しくなる。
そのごはんも、ふっくらツヤツヤ。今もガス火の羽釜で炊いている。キャベツの見事な千切りっぷりも、拍子木サイズのバラ肉がたくさん入った豚汁も、ビシッと辛さが鼻に抜ける芥子も、ずっと不変。
アップグレードだ、モデルチェンジだと喧しい世の中にあって、威風堂々、同じ手法を貫いているのだ。
「50年も前に、よく作りましたよね」。
3代目の吉原出日氏が言うように、およそ、とんかつ屋とは思えない、“さらし”の厨房も見事。
衣をつける、揚げる、切る、皿の準備をする、かつを盛る、提供する、すべての仕事に担当する職人がおり、皆、黙々と己の役割に徹している。その様子を眺めながら揚がるかつを待つ時間もまた至福。
「隠し事があるとするなら、2代目が自宅で作るソースのレシピぐらい。私も未だ知りません(笑)」
潔癖としか言い様のない空気感も素晴らしく、店内に響くのは「いらっしゃいませ!」「はい、ヒレ1枚!」という職人たちの清々しい声と、あとは、揚げ鍋から溢れる、ジワジワジワという油の音のみ。
「温度を一定に保つため、ひとつの鍋で一度に揚げられるかつは14、5枚が限度なんです。だから、鍋は5つあって、順番に使っています」
長く愛されるには理由がある。今日もそこに『とんき』があるという安堵感は何ものにも代え難い。
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この記事で紹介したお店
とんき 目黒店
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