東京から恋が消える日 Vol.3

東京から恋が消える日:まだひとりの彼氏で満足してるの?複数人との交際を、選ぶ女

恋をしない男女が増えている。

それは、決して感覚値ではない。

国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、18歳から34歳の独身男性約7割、独身女性約6割に交際相手がいないという。

しかし今や、デーティングアプリなどでも異性と簡単に出会える時代。

何もかもが揃った、2017年の東京。

いや、何もかもが揃ってしまったからこそ、人は、恋に落ちなくなったのかもしれない。

東京から、恋が消えかかっている。

東京から恋が消える日も、遠くない。


「それで、透子はいったい誰が本命なの?」

『アルマーニ リストランテ銀座』でゆったりとランチを味わい、食後の紅茶が運ばれてきた時、瞳はいたずらっ子のような目つきで聞いた。

「本命ね…。本命なんて、必要?」

そう平然と答えながらアールグレイを飲む透子の頬には、くるりと綺麗にカールしたまつ毛の長い影が落ちていて、瞳は思わず手をとめて見とれた。

「まったく、あいかわらずなんだから。」

大学の同級生で一番の仲良しだった瞳と透子の交友関係は、32歳になった今でもまったく変わらなかった。

瞳は保険会社の一般職として5年働いたのち、大学の時から付き合っていた3歳上の整形外科医と結婚し(でも勤務医よ、が瞳の口癖だ)、専業主婦の道を選んだ。28歳で息子を産むと生活は激変したが、幼稚園に預けられる年齢になると、少しだけ自分の時間ができた。

透子は何においても器用な性格で、メガバンクの総合職として働き出すとめきめきと頭角を現した。しかし突然瞳と同じく5年が過ぎた頃退職し、家業と同じ小さなインテリアの貿易会社に入った。家業を継ぐことを見据えた転職だ。

32歳にしてマネージャーという肩書きを手に入れ、持ち前の器用さで仕事をこなし、こうやって平日でも瞳とランチをしながらゆるりと働いている。

【東京から恋が消える日】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo