東京プレイリスト Vol.5

東京プレイリスト:お願いだからプロポーズして!花嫁の切なる想い“Rather be”

音楽はいつだって、私たちの人生を彩る舞台装置だ。

鮮明に思い出がフラッシュバックする、懐かしのメロディ。
まるで自分の歌のように、心に突き刺す歌詞。

だれにだってそんな経験、きっとあるはず。

例えば普段聞き慣れた音楽たちを基に、東京の恋愛模様のワンシーンを切り取ってみたら…

これはいわば、「読む」音楽。

物語の主人公は、東カレなライフスタイルを送る、他ならぬあなた自身かもしれません。

we are thousand miles from comfort
後戻りできないところまでやってきた

「それでは、結婚式当日もよろしくお願いします」

何度もやり取りしたプランナーさんとの打ち合わせも、今日が最後。

ほっとする反面、無事に式を終えるまでは心は休まらなかった。

私を見送るプランナーさんが、深々と頭を下げている。
顔は下を向いていて見えないのだが、私の事を哀れんで嘲笑っているのだろう、どうしてもそんな気がしてしまってならない。


結婚式場を後に大江戸線の駅に向かう道中、4組ほどのカップルとすれ違う。

みんなここでの結婚式を控えているのだろう。
すれ違いざまに聞こえてくる一瞬の会話だけで、甘い空気を感じずにはいられない。

私も同じ。
ここで私は、明日結婚式を予定している。

それなのに、私の隣には誰もいない。

I would wait forever, exalted in the scene
高まる想いと共に、私はあなたのペースに合わせるつもり

今から3年前、私はニューヨークで働いていた。

念願だったニューヨーク駐在の辞令を会社から受け、拠点をニューヨークに移した後、事件が起きたのは、帰国まで1週間という時だった。

ニューヨークのバーで、中目黒の元彼に再会したのだ。

当時私はアメリカ人の彼とお付き合いをしていたが、帰国を前に、今後の二人の関係について話し合いが続いていた。

−結婚しよう、愛してる−

たった一言を待ち望んでいた私に対し、彼は慎重だった。あの夜も、結局話し合いは平行線。

元彼との再会は、そんなタイミングにやってきた。

「東京でやり直そう、愛してる」

私が求めていたその言葉を、まさか別の男から、しかも昔の男から聞かされるとは。

あの時の彼は、確かにロマンチックだった。
今も、彼を好きな気持ちに一切の嘘はない。


ただ。


彼は結婚式の準備にまるで無頓着。
プランナーさんとの打ち合わせに一人で来るのも、今日で3回目だった。

さらには、正式なプロポーズの言葉すらまだもらっていない始末。

将来私は、子どもになんて話せばいいのだろう。
いくら忙しい人だとはいえ、結婚前夜にこれはまずいんじゃないか。

【東京プレイリスト】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo