ゼミの飲み会は、最近は皆で集まることはめっきり減ってしまったが、大抵いつも10人程が出席する。その中でも、はるかと高志は特に仲が良い。
だが実は誰にも言っていないが、はるかは大学時代、高志のことが気になっていたのだ。あまりに仲が良すぎたため、この関係を壊すのが怖くてその想いはずっと胸に秘めていた。
大学卒業後は、高志と会う機会が一気に減り、どうにか自分の気持ちに折り合いをつけた。社会人になって付き合った人も数人いる。だが、結婚はまだ。今は付き合ってる人もいない。
だからこれが高志からのサインだったら……。はるかはそんな想いを抱かずにはいられないのだった。
Monday:レストランで親友の誕生祝い。さっそく高志のことも相談!
「ハッピーバースデー!」
はるかの元気な声に背中を押されるように、リエは勢いよくロウソクの火を消した。今日は『ウェスティンホテル東京』の『ザ・テラス』で高校からの友人・リエの誕生日を祝っているのだ。リエのリクエストでこのレストランを選んだが、「アメリカン・エキスプレス・セレクト」を利用すれば飲食代が10%OFFになる事を思い出し、その特典を使ってお得に楽しんでいる。
リエとはお互いの過去の恋愛事情は知りつくした関係。だからもちろん、高志とのタクシーでの出来事も相談した。
「何その思わせぶりな感じ!やめときなよ~。そんなのお酒の勢いだよ」
リエにバサリと斬られ、「やっぱりそうかな」と少しへこむはるか。だがその時、テーブルに置いていたはるかのスマホが震えた。見ると高志からのLINEだ。リエに報告してLINEを開くが、書かれていたのは
“はるかが好きだって言ってたタレントが、今テレビにでてるよ”
なんてどうでもいい事……。
“ありがとう”とは返したが、「もっと他に言う事あるでしょ」と心の中で毒づく。
―アレはやっぱり、ただのお酒の勢いだったの……?!
Tuesday:鳴らないスマホ。彼の本心が知りたいだけなのに・・・
残業で久しぶりの終電帰り。新たな企画に向けて資料作りに没頭していたら、あっという間に時間が過ぎてしまい、慌てて帰る事にした。
高志からの連絡は、今日は一度もなかった。なんとなくスマホをいじりながら、深く考えるのはやめようと自分に言い聞かせた。
―そういえば、水も洗剤ももうないんだ。
山手線に揺られながら、必要な日用品の買い物をスマホで済ませる。支払いは「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」。これで、明日の夜には宅配BOXに届いているはず。
仕事の疲れも重なって、はるかはひとつ大きなため息を吐いた。
―やっぱり、ただの気まぐれだったのかな……。
Wednesday:”おひとりさま”でホテルに宿泊。その夜、待ち望んだオファーが届く!
今日は月に一度のNo残業デー。いつもより早く会社を出て、自分へのご褒美と勉強を兼ねて『ザ・リッツ・カールトン東京』に宿泊することにした。
旅行に行く程の時間は取れないけど、非日常を手軽に味わうのにホテルはうってつけ。特に、今みたいに気持がモヤモヤしている時は、いつもと違う状況に身を置くと、新たな発見があったりするもの。「アメリカン・エキスプレス・セレクト」を利用すればお得に泊まれて、心も大満足だ。
「はぁ、最高……!」
ベッドに横になり、天井を見つめながら呟いた。
大きなベッド、清潔なシーツ、落ち着いた照明、ラグジュアリーな空間……。それらを全身で感じながら至福の時間を満喫していた。すると高志からスマホへ、待望の連絡が届いた。
“今週末、二人で食事でもどうかな?”
その文字を見た瞬間、飛び上がりたい程はるかのテンションは一気に上がった。返事はもちろんOKと返す。眼下に広がる東京の夜景を見ながら、高志との食事を想像したのだった。