マンションサプリ Vol.8

都心マンションは既に供給過多…!? オリンピックを待たずしてあなたのマンションの価格は下がるのか

2つのグラフを重ねてみた

では、前のページの平均成約坪単価グラフと平均在庫坪単価グラフを重ねてみましょう。すると以下のようになります。

どちらのグラフも右肩上がりに上昇を続けておりますが、こうしてグラフを重ねてみると以下の点に気づきます。


①2013年3月~2014年9月頃まではグラフ間の間隔がほぼ変わらず推移している

②2014年10月~2015年7月頃までは、グラフ間の間隔がそれ以前よりも狭い間隔で推移している

③2015年7月~現在までは、グラフ間の間隔が最も広く空いて推移している


つまり、2013年3月~2014年9月頃までは成約・在庫どちらの単価も同じような上昇率を辿っていたが、2014年10月頃から成約単価が急上昇を見せ、在庫単価との差が少なくなった。その後、2015年8月頃からは在庫単価が大きく上昇し推移をしているが、成約単価については上昇下降を繰り返しており、在庫単価との差が開いてしまったという形です。

要するに、現在の在庫単価は成約単価に比べて乖離が大きく、実際の市場価格からかけ離れつつある(または既にかけ離れている)という事が想定されます。

不動産市場に限らず、需給バランスが取れていない(つまり、商品の値段が高い)場合には、当然ながらこの需給バランスを近づけようとする(商品価格を下げる)作用が働きますので、この点から、筆者は今後都心マンションの価格は下がるのではないかと予想しています。

単価(価格)だけではなく、件数(数)も見てみよう

続いて、上では単価(価格)に絞ってみていきましたが、次は件数(数)に目を向けてみましょう。まずは、2013年3月~現在に至るまでの都心3区(千代田区、港区、中央区)の月毎の成約件数をグラフにしてみました。

このグラフを見てみると、成約件数については各年毎に時期的要因(春先に成約が多い)などの傾向が見られますが、概ねどの年のどの月においても120件~180件前後の成約件数となっています。

つまり、都心3区で毎月120件~180件前後の中古マンションが売れているという事になります。(実際には、東日本不動産流通機構が運営している「レインズ」へ成約登録が行われない事もあると思いますので、各月の成約件数はもっと多いと思います)

次に、在庫件数つまり販売中物件の件数へ目を向けてみましょう。販売中物件の件数をグラフにするとこのようになります。

筆者もこのグラフには驚いたのですが、2014年12月時点では1,900件前後であった中古マンションの販売件数が現在(2016年7月)では約3,900件まで増加しているではありませんか。2倍をゆうに超える販売件数の増加率です。

中でも、2015年8月頃からの増加が著しく、この頃に多く取り上げられた「中古マンションの価格が上がっていますよ!」という報道や市況情報を得たマンション所有者が大量に自宅を売りに出した結果であると思われます。

ここで2つのグラフを勘案しますと、在庫(販売中)物件については大量に増加している一方、成約件数については大きな増加が無いという事が分かります。「市場に商品が溢れえっているのに対し買う人の数は変わらない」=供給過多に近い状態ですので、こちらも一般的な需給バランスを考えると、今後商品(マンション)の価格は下がると考えるのが一般的でしょう。

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