雑食系男子・植木くん Vol.7

雑食系男子・植木くん:女の結婚願望を揺さぶれば、そこに勝機が見えるはず。

27歳という年齢の女性たちは高慢だと世間はいいますが、本当にそうでしょうか? 年々メディアがこぞって、結婚できない闇や妊娠できない絶望を煽るせいで、最近の27歳は何やら焦っています。

結婚するつもりのない男への女性たちの掌返しの冷淡さは見事なもので、愛も情もバッサリぶった斬って結婚というゴールへ向かってひた走ります。そう、そこにこそ、僕の勝機はあるのです。

青山ヒロムはきっと、結婚しませんから。


「ヒロムさんに本気なら協力しますよ。その代わりに、僕も、立候補させてもらえますか?」


この言葉を聞いた菜々緒さんは、大きく目を見開きました。


「え?植木さん、あの子といい感じなんじゃ・・・?」


あの子とはつまり今トイレに立っている菜々緒さんの友人です。ヒロム氏と違ってNDA、秘密保持契約を結ばない主義の僕は、すべてを開示します。


「体の関係は持ちました。でも、それは菜々緒さんと出会う前の話。クラブで酔っ払ってその勢いで、という何ともだらしない下半身であることは認めますが、僕も彼女もいい大人です。」


菜々緒さんは、眉間にしわを寄せていますが、どんなに杜撰な事情だったとしても、一時軽蔑されたとしても、自らの掌を明かすことが信頼を勝ち得る最善の方法であると僕は信じています。

『つるとんたん』の2階の各個室ではどんちゃん騒ぎが行われているようで、男と女の弾けるような笑い声が漏れ聞こえてきます。その声が賑やかであればあるほど、僕たちがいる「楽精庵」の静けさが際立ちます。

先ほどまでストッキングを脱いで檜の露天風呂で寛いでいた菜々緒さんが、初めて目の前にいるのが狼だと気付いた赤ずきんちゃんのように、警戒レベルをぐっと引きあがたのが分かります。

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