「話題のIT企業に初の女性執行役員、登場!」
2016年1月、各メディアがこぞって取り上げた。
大手IT系メディア企業CNA初の女性執行役員に抜擢された、リサ。弱冠28歳での就任だった。
「仕事はすごく熱心だけど、中身は普通の女の子。」
彼女のことを、周囲の人間はそう評する。
女性の社会進出が当たり前になっている昨今。しかし、出世願望のない女性も数多くいる。
これは、“夢中で仕事していたら、いつの間にかここまで来ていた”と語る女子社員が執行役員として奮闘する物語−。
執行役員リサの誕生
「執行役員!?」
2016年1月。年明け早々社長室に呼ばれて、突然言い渡された。
リサ、28歳。ネット系メディア企業であるCNAに入社して6年目。確かに、プロデュースした事業は幾つかヒットして軌道に乗ってきたが、この辞令は青天の霹靂だった。
「女性初の執行役員、期待しているよ。」
突然の出来事に返事ができないでいると、社長の平尾太一は秘書に呼ばれ部屋を出て行ってしまった。
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CNAは、設立10年ほどのインターネット系のメディア会社だ。モバイルゲームやブログ事業を主軸に置きながら、時価総額2,000億の一部上場企業に成長した。
リサは慶應の経済学部を卒業後、新卒でCNAに入った。もともとマスコミ志望で、大学時代はテレビ局でアルバイトをしていた。将来の夢はテレビ局のプロデューサー。
就職活動では何社か最終面接まではいったものの不採用。当時急成長中だったネット系の会社を何社か受けて、今の会社に入った。昔からテレビドラマや映画が大好きで、「新しくて面白いものを作りたい」という想いが強かった。
しかし、CNAに入ってから現在までの道のりは決して平坦なものではなかった。
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