秘書の秘め事 Vol.2

秘書の秘め事:縮まないイケメン上司との距離。秘書なのに、どうして?

上司にランチに誘われた場合、お店のチョイスはどうしたらいい?


「ミドリさん、せっかく入社したのに、バタバタしてあまり話せず申し訳ない。今日、良かったらランチでもどうかな?」

入社して数日、すれ違いが続いていた村上にようやく声をかけられ、ミドリはテンションが上がった。

「ありがとうございます、ぜひ!」

「じゃあ、適当にどこかお店、予約しておいてください。12時にオフィスを出ましょう。」

村上はそう言い残して、会議室に消えて行った。

ミドリは少々戸惑う。予約をするということは、それなりの価格帯の店をチョイスすべきだろう。しかし、どの程度の店を予約したら良いのか、まるで見当がつかない。

「や、泰子さん...。」

ミドリは、先輩秘書である泰子に知恵を借りることにした。

最近徐々に分かって来たことだが、泰子は「秘書」という枠を越えて、もはや会社を牛耳る存在のようだ。

まだ会ったことはないが、この会社の創業者兼顧問である新堂の秘書はもちろんのこと、その他のコンサルタントたちの状況もすべて把握し、総務や人事の責任者にまでなっている。

そんな泰子には、パートナーと同じように、窓側の個室があてがわれていた。そこは皇居が眺望できる角部屋で、一歩踏み入れると、上品な薔薇の芳香剤の香りが鼻孔をくすぐった。


「あの、村上さんにランチに誘われて、適当に店を予約するように言われたんですけど...。どういったお店を予約すれば良いでしょうか...。」

忙しそうな泰子にランチの相談などするのは、お門違いのようにも思え、ミドリは緊張する。

「あら、そうよね。まだきちんと顔を合わせてないものね。新丸ビルの『駒形 前川』の鰻はどうかしら?誠一さん、鰻好きなのよ。時間は気にせず、ゆっくりして来てね。」

泰子は村上を、「誠一さん」と下の名前で呼んだ。そこには親しみだけでなく、何となく色っぽい響きがあり、ミドリは思わずドキっとする。

「では、そうします!ありがとうございます!」

優雅に微笑む泰子は、常に隙がなく美しい。社内の名簿から彼女が43歳独身であることは判明したが、ミドリはなぜ泰子のような女が独身なのか、見当もつかなかった。

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