『東京都長期ビジョン』って読んだことある? これでいいのか、東京五輪!


隅田川の水辺を賑わせるよりも、リアルな「東京」を伝えるほうが重要なのではないか?

『東京都長期ビジョン』の『都市戦略3:OMOTENASHI IN TOKYO』では、外国人観光客に対しての受け入れを以下のように述べている。

“ボランティア文化の拡大・育成、道路空間や水辺に新たな賑わいの創出、観光都市としての受入環境作り……”

確かにボランティア文化の拡大は東京オリンピックまでには必要なことだろう。道がわからないときや、聞きたいことがあったとき、コミュニケーションを取ることのできる人がいなければ日本に来たことでストレスを与えてしまう。

しかし、「道路空間や水辺に新たな賑わいの創出」については疑問を持つ。オープンカフェの展開と挙げているが、すでに日本では物珍しいものではなく、これらを展開することが、一体訪日客の何の満足度をあげるというのか。

隅田川周辺の恒常的なにぎわいというのも、計画においては強調されているが、すでに割と開発されているし、さらに目標年次は2024年と書かれているが、この時には東京オリンピックはすでに終りを迎えてしまっている。

おもてなしというのは、こういった“外国人が好きそうなもの”を造っておけばいいというわけではない。リアルな「東京」を楽しんでもらうことこそが、彼らへの「真のおもてなし」なのではないだろうか。


最大の懸念である「テロ対策」が「民間防犯カメラの活用」って……

『都市戦略4:TOKYO SAFETY & SECURITY』では火災・津波・地震対策などの防災や、ストーカーや詐欺対策など防犯について触れられている。

だが、オリンピックの際の最大の懸念である「テロ対策」について全くといっていいほど触れられていないのだ。

やっと見つけることができたのが「民間防犯カメラの活用によるテロ等の大規模災害への対応 」という一文(東京都長期ビジョン第2章 東京の将来像P24に記載あり)。確かに防犯カメラは多く存在しているが、具体的に誰がどうやって民間企業の防犯カメラを監視するというのだろうか。

防犯カメラというのは、対処療法的な話で、そもそもテロリストの侵入や、計画段階からの措置を講ずるべきではないだろうか。今後、計画は深まっていくのであろうが、リオ同様、東京五輪でも何かしらの騒動が起きてもおかしくない気がしている。

都や国に任せるのではなく、我々は何ができるのか?

ここまで『東京都長期ビジョン』をもとに、開催時に想定される懸念事項を挙げてきた。
今後の4年で議論を深め、対策を講じる課題が山積されているが、ここで大事なのは、オリンピックを成功させるために、我々都民が何ができるかという点ではなかろうか。

国や都が講じるプランは、どうしても利害関係者との調整を重ねて作成されるため、折衷案的な、実効性に疑問のもたれるものが多くなるケースもあるだろう。
都民ひとりひとり、国民ひとりひとりが、オリンピックを成功させるために、そして国力を高めるきかっけとなるために、ボランティアの精神で何ができるのかを議論するのが必要ではないだろうか。

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