精神科医エレナ Vol.3

精神科医エレナ:キレる、泣く、束縛する…結婚で豹変した女。男がやりがちなNG対応とは?

慌ただしく、そして力強く、東京を生き抜く男たち。

だがしかし、東京で暮らす男は皆、煌きながらも、密かに心の闇を抱え戦っている。

いくら頑張っても果てしなく渇き続けるそんな東京砂漠に、一滴の雫の如く、彼らの闇を癒す存在がいた。

エレナ、29歳。石川県出身。職業、精神科医。

これは、彼女が東京の男たちの心の闇を解決していく物語である。

先週は美人形成外科医の悪友“サトコ”からの頼みで、ザ・国産男「崇成」の失恋を解決したエレナ。

今夜のお相手はエレナと同い年、29歳の「慧(ケイ)」。彼の生活を脅かす妻の正体は……?


エレナと縁のある、「慧」という名の男たち。


LINEを開くと、またサトコから鬱陶しい「ジョジョ」のスタンプが届いている。

サトコ:今夜の患者様→慧、29歳商社マン。イイ男なのに結婚早まってさぁ……嫁のことで参ってるみたい。

エレナ:慧の読み方は?

サトコ:ケイちゃんだよー

エレナはホッとしてiPhoneを鞄にしまった。



エレナの世代には「慧」という男が多いように思う。エレナもこれまでに「慧」という男と2人付き合った。

高校時代に初めて付き合った同級生の「慧(アキラ)」は東北大学工学部を卒業後大手総合電機メーカーに就職し、今は日本中のエレベーターを動かしている。

大学時代に通算5年間付き合った男の名前も「慧」だった。読み方は、サトル。3学年先輩の彼は、北海道大学医学部を卒業し札幌で循環器内科医をしている。

2人とも、エレナが上京してから一度も会っていない。

ケイ、29歳。岡山県出身。大手総合商社勤務。


「慧」という名前につい感傷的になってしまった自分に苦笑し、あらためて目の前の「ケイ」を見る。子犬のように無邪気な笑顔を浮かべる彼に、言い方は悪いが「扱いやすそうな男」という印象を受けた。

ケイが選んだのは『とり喜』。「ミシュラン星付き」に恥じない上品で落ち着いた雰囲気で、エレナはすっかり気に入った。

ケイは就職した頃船橋の寮に住んでいたので、東京の東エリアに慣れているのだという。「恥ずかしいけど、錦糸町とか小岩あたりの雰囲気が田舎者の僕には落ち着くんだ」と控えめに微笑む彼には、「東京の商社マン」らしくない隙と甘さがあった。

田舎で育った男女に特有の、小学生みたいな恋愛観。


ケイは岡山県で生まれ育ち、地元の公立高校から現役で神戸大学経済学部に進学した。商社に就職した理由は、得意の英語を生かして世界で働きたいという真っ当なものだ。かくして、22歳のときに初めての東京生活がはじまった。

東京に行って綺麗な彼女ができたらいいな、と無邪気に妄想する当時の彼は、「商社マン」という言葉が女たちにどんな意味を与えるのか知らなかった。

男女が騙し合い値踏みしあう東京の恋愛スタイルを、地方で育った者は知らない。小学生のとき、席替えで隣になった女子がなんとなく気になって……その程度の恋愛観のまま、大人になる。

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