バルージョ麗子 Vol.2

バルージョ麗子:おひとりさまにキツイ一言「君って1人で生きていけるタイプだよね」


「一人で生きていけるタイプだよね」


「麗子ちゃんってさ、お酒強そうだし、一人飲みは堂に入ってるし、なんていうか、一人で生きていけるタイプだよね」

そう?と、笑い流したものの、麗子は心の中でため息をついた。また言われてしまった。母親いわく麗子は小さい時から独立心が強かったらしい。実際、男がいないと生きていけないタイプの女は苦手だ。とはいえ、結婚願望がないわけではない。

パスタを食べ終わった祐二は「じゃ」と短い挨拶をして、店をあとにした。アクの強い男。麗子は、言いたいことだけ言ってさっさと帰ってしまった祐二の背中を見送りながら、そう思った。

胃にはまだ余裕があったはずなのに、食欲はすっかりなくなった。24時をまわった八幡通りでは、あちらこちらでタクシーを待つ人がいる。麗子は歩いて帰ることにした。



(一人で生きていけるタイプかぁ)

麗子は祐二の言葉を考えていた。元彼と別れて4年。社会人3年目の春に出会った彼とは結婚まで考えていたが、お互い仕事が忙しくなりすれ違いの日々が続いたことで、破局を迎えた。

別れた直後の虚無感はひどかったが、ぽっかり空いた穴を埋めるように仕事に没頭した。おかげでキャリアは順調にアップ。担当するブライダル事業部のマネージャーにまでのぼりつめた。

ただ、「愛」や「幸せ」を願う業界の仕事をしていても、最近は、先週のようなアクシデント的な情事ばかりで、恋愛と呼べるものに全く縁がない。

このままキャリア系の道を進むべきか、それとも覚悟を決めて婚活に挑むべきか。大いに迷うが、どちらを選んでも満足できないような気もする。

定期的に陥る深い悩みを吹っ切るように、麗子は颯爽と夜道を歩いていった。

【これまでのバルージョ麗子】
vol.1:バル大好きな女が行きつけのバルで出会った「Mr.アベレージ」との朝

『LB8』
代官山八幡通沿いに開放的に面したバル。圧倒的なライブ感を誇るオープンキッチンでは、中央の炭焼き台やそこで調理するシェフの姿を見られるエンターテイメント性が高く、注目されている。ビアテラスや隠れ家的空間的な地下など様々な用途で使い分けられる。深夜営業でありながらエイジングビーフなどの本格的な料理が楽しめる。

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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